「なんだぁ?、変わったものが流れ着いてくるもんだゼェ〜ぃ」
「わたしなんて・・・・」
「?」











-マリナ 14歳 夏-











気が付くと、ここは・・・・・

ベッドの上でマリナはキョロキョロと見回した。
暗い、夜のようだ。
だから周りの景色はよくわからないが、
ほんの小さな木造りのペンションの中のようだ。
風が心地よい。
外を見るとヤシの木が揺れている。
そして潮の匂い。
海?
浜辺?
ルケシオンだろうか。

「気がついたみたいだねぇ〜ぃ?」

カチリと電気が点く。
2部屋くらいしかないだろう小さなペンションに明かりが満ちた。
そしてマリナはその男の風貌に一瞬驚いた。

「変わった人ね・・・・」
「そうカイ?最高にイカしてると自分では思ってるぜぇ〜ぃ?」

その男は持ってるサメの形をしたギターをギャイーンと鳴らした。
まず2mはゆうに超えるだろうその体。
・・・・の割りにほそっちょろい体・・・・
細長い・・・というのが妥当だろうか。
骨だけ人間かと思ったら骨模様の服のようだ。
顔のお化けみたいな白いペイントで素顔も分からない。
ピエロのような赤い口紅が不気味だ。
赤い長髪は地面に着きそうなほど長いので2m以上あるだろう。
正直な話・・・・

「キモち悪っ・・・」
「ヘィヘーイ!ベイビーには俺の音楽性が伝わらないようだゼ〜ぃ」

そう言いながらその男はサメの形をしたギターをまたギュイーンとかき鳴らした。

「わたしはどうしてここに?」
「近くの浜辺で倒れてたんだぜぇ〜ぃ?
 あの時はまるで驚きのファンタジーウェーブだったゼェーィ!」

わけの分からない事を言いながら、
またもやギターを鳴らすその男。
耐え切れずマリナは叫んだ。

「うるさいわ!そのギター!」
「おぉっと!助けてもらった上に初対面の俺にそんな口を聞くとは〜!
 これまたまるで衝撃のサンダーロードだぜぇーぃ!」

その男はやれやれといった感じでバカ長い両手を広げたあと
ギターを壁に立てかけた。

「ベイビーの名前はなんていうんだぁーぃ?」
「私?私はマリナ。マリナ=シャ・・・・」

              マリナ!あなたは天才よ!
              凄いぞマリナ!お前はシャル家の宝だ!
              なんてこと・・・ほんとあんたは期待はずれだわ・・・・
              シャル家の面汚しめ!二度とスオミに足を入れるな!

「・・・・・・・」
「どうしたぁーぃ?性は?シャ・・・・の続きはなんなんだぁーぃ?
 気になって俺はまるで夜も眠れぬ満月の子犬だぜぇーぃ」
「いいえ・・・私はただのマリナよ」
「?・・・・そうかぁーぃ?ま、いいけどねぇーぃ。俺も性なんかないぜぇーぃ
 俺もただのシャークさぁ〜。けど残念だぜぇ〜ぃ
 "シャ"が一緒かと思ってハートがブルブルと電撃ロケンローだったけどねぇーぃ」

シャークは左手をカラぶった。
ギターを持ってない事を忘れていたらしい。
また長い両手を自分でやれやれと広げてみせた

「ま、事情はどうあれ今日はここでゆっくり休みなベイビー?
 なにせここはルケシオンダンジョンと呼ばれる地域のど真ん中だぜぇーぃ
 これからどうするかはベイビーの胸に閉まってあるハートという名の天使とご相談だぜぇーぃ」

そう言ってシャークはパチリと電気を消した。
マリナはそのままベッドで目をつぶった。
あのシャークという男。
容姿からして多分モンスターだろう
でもとりあえず害はなさそうだ。















目を覚ました。
波の音が心地よい。
明るくなってみればこんなにも浜辺が近かったのかと気付いた。
その浜辺を昨日のシャークという男が歩いてくるのが見えた。
何かを引きずっている。
そしてペンションに戻ってきた。

「ヘェーィ!起きたみたいだなベイベー?
 朝ごはんを捕ってきたぜぇーい?大物だぜ〜ぃ
 こいつを捕った時は体中に快感のシンファシーが突き抜けたぜぇーぃ」

そう言ってシャークが地面に放りだしたのはドでかいザコパリンクだった。

「外で焼くから出てきなベイベー?」

そう言ってシャークは家の外に出て行った。
マリナもとりあえず着いて外へ出て行った。
焚き火を点けるシャーク
そして槍ほどのでっかい木の串にザコパを刺して焚き火にあぶった。

「こりゃぁー焼き上がりを見たらエレクトしちまいそうだぜぇーぃ」
「シャーク・・・・・さん?」
「シャークでいいぜぇーぃ」
「・・・・シャークはなんなの?なんで私を?」
「なんでってカァーぃ?理由なんて聞くだけヤボってもんだぜぇーぃ
 ただ波打ち際に倒れていたベイビーを見たから拾っただけさぁー
 理由なんていつも謎めいたラビリンスの向こうでさ迷う子羊さ〜」

そう言いながらシャークはバカ長い手で焼き途中のザコパリンクをつついた。
まだ焼けてないことに気付くとそのバカ細長い体はその場で体育座りをした。

「なんでこんなモンスターだらけのルケシオンダンジョンに一人で?」

シャークはその問いにバカ長い髪の毛をバサッとなびかせてから答えた。

「俺は案内人なのさぁ〜。ルケシオンダンジョンやデムピアス討伐のだぜぇーぃ」
「一人で?」
「そうさぁ〜。一人さぁ〜」

マリナは気付いた。
この人は多分さみしかったんじゃないだろうか。
モンスターを食べてる時点でモンスターと仲がいいわけじゃないだろう。
こんなところに一人で・・・
仕事以外で人としゃべる機会なんてないだろう。

「焼けたぜベイベー!こいつぁ〜灼熱の業火で生まれたマーベラスな一品だぜぇーぃ?」

シャークはザコパリンクの身をすこし切抜き、
マリナの皿に乗せた。

おいしかった。




















「シャーク!このクレブタは食べれる〜?」
「おぉ〜!そりゃぁ超絶のスペシャルディナーだっぜぇーぃ
 身が多くて旨そうだ〜!殻は剥かずに焼くんだぜぇーい?」
「分かってるわよ!マレックスは湯でてクレブタは焼く。そうでしょ?」
「分かってきたなベイビー!それさえ分かればこの世は無敵のレインボーワールドだぜぇーぃ!」

シャークのペンションに住んで既に数ヶ月が過ぎていた。
マリナはここでの生活すっかり慣れていた。

「ベイビー。ベイビーはなんでいつまでもここにいてくれるんだ〜ぃ?」

シャークはギターを片手にかき鳴らしながら言った。
そのギター音にももう慣れたものだ。
いや、むしろ好きになっていた。

「わたしもひとりだからよ。それに行く所がないの」
「そうカァ〜ぃ?まぁ、いつまでいてもいいんだぜぇ〜ぃ?
 心が変わらない限りそこはいつでもネヴァーエンディングストーリーだぜぇーぃ」

うそではなかった。
自分もひとりだ。
認めてくれる人なんていない。
そして行くあてもない。
ただここは心地がいい。
縛られて生きるでもなく、
何かを求められて急かされて生きるでもない。
こんな生き方があったのかとマリナは小さな幸せを手に入れていた。

「OH〜シャキナベイベー〜♪
 ベイビーに今日はプレゼントするぜぇ〜ぃ!ついてきなベイベ〜」

シャークが長い手でチョィチョィとマリナを導いた。

シャークとマリナはルケシオンダンジョンを歩く、
当然モンスターはいるのだが、
シャークがギターを奏でるとモンスターは苦しんで倒れていった。
こんなでも詩人・・・・という部類に入るのだろう。

「ギターと音楽は無敵だぜぇーぃ?
 音という名の魔法が奏でるパレードは誰も害せぬキングダムさぁ〜」

そしてシャークは立ち止まった。
特に変わった場所ではない。
ただの波打ち際。
ヤシとモンスターと海だけしか見えないこの場所。

「ちょっと待ってなベイビー」

そう言ってシャークはギターを振り上げた。
何に向かって振り上げたかと思うと、
それはサンチョワイキだった。
ギターはサンチョワイキの頭に鈍い音を奏でながら突き刺さった。
弦がビビィィーンと揺れた。
そしてシャークは自分のギターを肩にかけなおし、
サンチョワイキからギターを剥ぎ取った。

「このギターをプレゼントさベイビー
 音楽をやればベイビーの寂しさなんて忘却の彼方へトライブだぜぇ〜ぃ」

そう言ってシャークはマリナにサンチョギターを手渡した。

「気に入ってくれるかベイベー?」
「あら、私がこんなモンスターから剥ぎ取った汚いギターで喜ぶとでも?」

そう言いながらもマリナはそのギターを胸に抱きしめて笑った。
シャークはそれを見るとホッとしたようで、
すぐさま嬉しさを自分のギターで表現するべくかき鳴らした。

「食らえシャーク!」

マリナはギターの先をシャークに向けた。
そしてサンチョワイキのように先端から無数の弾丸を・・・・
シャークはあわててバカ長い手で自分の頭を守った。
だが弾丸は襲ってこなかった。
プスンプスンといってギターは煙をあげていた。

「あれ?・・・・壊れてるわシャーク・・・・」
「ビ、ビックリさせるなよベイビー〜・・・・
 俺の中で驚きのギャラクシーが爆発したぜぇ〜・・・・」
「とにかく不良品よシャーク〜」
「ん〜・・・それがどんな原理なのか分からないぜぇ〜ぃ・・・・
 とにかく俺はそういう用途でそれをプレゼントしたわけじゃないんだぜぇ〜ぃ?」
「分かってるわ」

マリナは微笑んだ後、弦を一本ポロンと弾いてみた。





















マリナは毎日ギターを弾いていた。
はっきりいって面白かった。
シャークの教えもありみるみる上達していったが、
マリナは上達を目的に弾いていたのではなく、音楽を楽しんでいた。
どう弾こうがまた新しい道のできる楽器。
音楽は無限で、永遠の遊びだとシャークは言った。
その通りだった。
ギターさえあればもう一生寂しくないだろうとも思った。
だからヒマがあればギターを弾くようになっていた。

「ベイビー。今日は俺が聞いてもいいかぁーぃ?」
「なぁに?」
「ベイビーはなんでここに?言いたくなかったら別にいいんだがねぇーぃ?」

その質問にマリナはズンと落ち込んだ表情を見せた。
それを見てシャークは慌て、
長い手であたふたしながらどうしたものかと考えたのち
どうしたらいいかわからずギターを一回ギャァーンと鳴らした。

「ベイビーベイビー!泣かないでおくれ〜!
 今のは俺が犯した人生の過ち、ベイビーの涙という名の小さな海をソっと閉まっておくれぇ〜」

シャークのあわて具合にマリナはおかしくてクスリと笑った。
シャークはそれを見て少しホッとした。
そしてマリナはゆっくりと話始めた。

「わたしはねシャーク。スオミで生まれたの
 シャル家っていうスオミではそこそこの名門の子なの
 まぁスオミに名門なんて腐るほどあるうちの一個だけどね」

                シャル家の子じゃ!
                名門に長女が生まれたぞー!

「はっきり言って子供の頃は自分でも天才だと思ってたわ」

                マリナ!あなたは天才よ!
                凄いぞマリナ!お前はシャル家の宝だ!
                2歳でマジックボールが・・・・しかもこの完成度!
                もうじき生まれてくる妹も期待できるな!

「周りにホメられて生きて、」

                マジックボールをこんなにも自在に!
                これほどの使いは大人でもそうはいないぞ!
                魔術師はマジックボールに始まりマジックボールに終わる・・・
                もしかしたら歴史に残る子になるかもしれないわ!

「でも違った。私は天才なんかじゃなかった」

                マジックボールに関しては天才的だが・・・・・
                6歳になるが他のスペルはできんのか?
                何言ってるんだぃ。他の子はこれぐらいで覚えるのは普通よ
                名門に生まれたからには普通じゃ困るんだがな

「それどころか、凡才以下の出来損ないだと知ったのは10歳の時だったわ・・・・」

                マリナ!ふざけてるのか!もう10歳だぞ!
                まだマジックボールしかできないなんて・・・・・
                妹はすでに魔術学校中学部のスペルを覚え始めたというのに・・・
                
「そしてとうとうスオミには居られなくなった・・・・・」

                妹と比べてなんだこの低落は!
                なんてこと・・・ほんとあんたは期待はずれだわ・・・・
                まったく。世紀の出来損ないだこいつは!
                シャル家の面汚しめ!二度とスオミに足を入れるな!

「それまでスオミから出たこともなかった私はひたすら歩いたわ
 ウィザードゲートでも使えれば話が違うんだけどね
 出来損ないの魔術師が外を歩くなんて危険そのものだったわ
 なにせ魔力が切れたら何もできないんだから・・・・
 ある日交通手段として船の貨物に潜んだのが運のつきだった・・・・
 その船は海賊船。有無を言わずに海に投げ捨てられて・・・・・今に至るってとこね」

聞き終わると、
シャークは体全部をたらしながら落ち込んでいた。
感情移入という部分でシャークは影響がデカい。
まるで自身がマリナの境遇にあったような状態だ。

「つらかったんだねベイビー・・・・
 ベイビーのハートは海より深い暗闇が作り出す小さなブラックホールだぜぇぃ・・・・」
「どーせ過ぎた事よ。今はそんな事を気にせずに暮らせる暮らしをシャークに教わって幸せよ!
 ねぇ、シャーク。もっとギターを教えてよ」

マリナの言葉にシャークはブンブンと首を振った。

「ベイビー。俺が教えれる事は全部教えたんだぜぇーぃ?
 あとはベイビーの出来る事を考えてベイビーの音楽を作るんだぜぇーぃ
 音楽と人生と言う名の積み木は自分の好きな様に積み上げるんだぜぇーぃ
 そうすればハッピーでラッキーな嬉しさのシンドロームが奏でられるはずさぁ〜」





















なんだかんだでいつも同じような日々が続いていた。
いつの間にか16歳になっていた。
その日もマリナはギターを奏で、
気付くと夕方になっていた。
没頭という体験をするようになったのはシャークと住んでからだった。
魔法を勉強していて楽しくて没頭なんて事は一度もなかった。

ふとマリナが窓から外の浜辺を見ると
シャークがとぼとぼと歩いていた。
マリナは向かえに外に出た。

「シャークお帰り〜」

マリナを見ると、シャークはとても悲しい目をした。
いつもマリナを元気つけようとするシャークらしくなかった。
そしてシャークは言った・・・・。

「お別れだぜベイベ〜・・・・」
「え?」

シャークは無理矢理笑顔を作り、
そしてバカ長い両手を広げて言った。

「仕事が無くなったんだぜぇ〜ぃ・・・・
 王国騎士団によってデムピアスが討伐されたんだぜぇ〜ぃ・・・・」
「え・・・でもこのペンションでいままで通り自給自足するだけじゃない!?」
「帰り際にここら一帯のモンスター駆除が行われるらしいんだぜぇ〜ぃ・・・
 そうすればここらは小動物も恐れる悲しみのデンジャラスゾーンさぁ〜」
「でもシャーク!わたしは・・・・・」

その時マリナの目に映ったのは
シャークの背後にそびえるドロイカンナイトだった。
シャークは気付いていない。
だがドロイカンナイトの槍は今にもシャークを貫こうと・・・・

「危ないシャーク!」

マリナはギターを構えた。
だが自分に何ができるのだろうか
こんな出来損ないの自分に・・・・・

           あとはベイビーの出来る事を考えてベイビーの音楽を作るんだぜぇーぃ

その瞬間
マリナのギターの先端が光り輝いた。
そしてギターから何かが無数に放たれた。
それは小さな小さなマジックボールだった。
マジックボールの凝縮体は弾丸となって幾数も発射された。
それはドロイカンナイトの体を貫く。
そして穴だらけになってドロイカンナイトは地に倒れた

「す、凄いじゃないかベイベー!」

夢中だった
マリナはそこにへたり込んだ。

「ベイビー!凄いぜぇーぃ!まるでMB(マジックボール)のマシンガンだ!
 今のもきっとベイビーの音楽性のひとつだぜぇーぃ!」
「・・・・私の?」
「そうだぜぇーぃ?今のはベイビーにしかない独奏という名の小さなコスモさぁ〜」

マリナはギターを抱えた。
このギターが自分に初めて自分だけの価値をくれたようで・・・・
チラりと砂浜にマリナの涙が落ち、そして浸み込んだ。
だがその時、もうひとつ
砂浜に液体の浸み込みがあるのに気付いた。
それは・・・・
赤い浸み込みだった。
マリナがふと顔をあげる。

その瞬間シャークの口から血が吹き出た。

「シャーク!」

マリナが視点を下げた。
シャークの腹に穴が開いている。
それは間違いなく
自分のマジックボールがあけた傷だった。
ドロイカンナイトに向かって放った弾丸のひとつが当たったのようだ
シャークを助けようと思って放った弾丸が・・・

「シャーク!シャーク!」
「ベイビ〜・・・・泣かないでおくれベイビ〜
 ベイビーの涙という名の小さな海を胸にソっと閉まっておくれぇ〜・・・・・
 ベイビーはこれから一人で生きていけるぜぇ〜ぃ
 なんたってベイビーは俺の宇宙の中で輝く"Queen"なんなんだぜぇ〜ぃ・・・・・」

突然だった。
周りに何かの地響きが聞こえた。
それが何かは分かった。
騎士団だ。
騎士団によるここらの一掃戦が始まったのだ。

シャークはふところからひとつのゲートを取り出した。

「ベイビーはルアスに行くんだぜぇ〜。あそこには世界で一番多くの色のある世界さぁ〜。
 十人十色の十色レインボ〜。あそこにいけばベイビーの自分だけの色も見つかるはずさぁ〜」
「でもシャークは!?怪我をしてるから急いで病院にいかなくちゃ!」
「俺は大丈夫だぜぇ〜ぃ。案内人をやってたから騎士団に知り合いもいるんだぜぇ〜ぃ?」

多分・・・・ゲートは一個しかないからこんな事を言ってるのだ。
そのための嘘だとすぐに分かった。
このままではシャークだけが騎士団の群と戦闘に巻き込まれてしまう。
マリナはゲートを開こうとしなかった。
だがシャークはゲートをマリナの手ごと無理矢理開いた。
マリナの体が光りに包まれる。

「あ・・・あ・・・・」
「ベイビー。元気でな〜。きっといつかまたどこかで会えるぜぇ〜・・・・
 天国か〜。それとも地の果てかは分からないけど絶対だぜぇ〜・・・・・
 だって音楽はどんな箱根も越えるからね〜・・・ベイビーがギターを持っていればいつか・・・・・・」

マリナの体が光となって上空に飛んだ。

上空から一瞬だけ見えた景色。

それはシャークが騎士団の群に飲まれていく姿だった。






































「お嬢さん。お名前は?」
「マリナ。マリナ=シャルです」
「そうか、じゃぁシャル=マリナじゃな」
「?」
「なぁにこの街の流行みたいなもんです
 わしはルアス99番街の町長であります
 マリナ嬢さんはこの街は始めてで?」
「えぇ」

マリナはギターを担いでこの街に入った。
ルアスを歩き回った結果。
いつのまにかこの街に流れ着いていた。

「家と・・・店を持ちたいんですけど」
「家?店?この街でそんなものが手に入るとでも?」
「え?でも私はどうしてもギターを奏でられるようなお店が欲しいんですけど
 自分だけの・・・・自分だけの色をしたお店・・・・」
「欲しいなら奪いなさい。それがこの街のルールじゃ
 できなければ死ぬ・・・・・ホッホ。お嬢さんにそれができますかな?」
「そうですか」

言い終わるのと同時にマリナはギターの銃口を町長に向けた。
町長は驚き、マユゲを広げた。

「じゃぁとりあえず今日の晩御飯と寝床といい物件・・・・・紹介してもらえる?」
「・・・・・・・・いやはや・・・・立派に生き残りそうじゃて・・・・」





その後、
マシンガンを振り回す女の噂は広がり、
彼女は『Queen B』と呼ばれるようになった。

そして同名の酒場が建てられるのはそう先の事ではなかった。




その酒場では今日もギターの音が鳴り響いてるそうだ。






ギターを奏でていれば
またいつか会えると信じて・・・・・・・












                 ベイビ〜・・・・泣かないでおくれベイビ〜
                 きっといつかまたどこかで会えるぜぇ〜











                 






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