暗く、光りの届かない場所。
どこかの一角。
世界のどこか
厳重で秘密な場所。
そして厳重な警備。

そんな場所に呼ばれざる客。
それは黒いシルクハットをかぶった男。
その男は一番奥の扉を開いた。

光が差し込む。

そこには小さな円卓と、数人の男女。
ここは会議室。
そう、今回臨時に開かれた《GUN'S Revolver》の会議室である。

「誰やあんた」

そう聞かれて男はゆっくりとハットをとり、
軽くおじぎがてら言った。

「申し送れました。私はピルゲンという者です」










S・O・A・D 〜System Of A Down〜

<<GUN'S会議>>












「ピルゲンやと!」
「騎士団のピルゲンか」
「和平を申し込むふりして和平場を血まみれにしやがったクソ野郎だな」
「そんな方がおめおめとこんなところまで何の御用かしら」
「いや、その前にこの部屋の外の警備兵はどうした!」

「警備兵?そんなのいましたかな?」

ピルゲンの服にはところどころ飛び血がついていた。
警備兵を全て殺してきたのだろう。
最強ギルドの機密会議。
その、警備。
ザコではなかったはずだが・・・・・

「・・・・やる気か?」

会議場の一人の男が立ち上がり、剣に手をかけた。
が、ピルゲンはヒゲを整えながら落ち着いて言った。

「いいえ、今回はそんなつもりはございません。
 何せ・・・・数を数えたところ
 ここには六銃士(リヴォルバーナンバーズ)が全員いるようですからね
 GMのドラグノフ殿はいないようですが・・・・・』

「ボスの名まで知ってんのか!」

「それは知ってますとも。会った事がありますから
 最強ギルド《GUN'S Revolver》のGM。ドラグノフ=カラシニコフ
 ただならぬ存在感をかもし出しておりましたな
 さすがの私もわざわざ彼のギルドには手を出しづらいのでございます
 それに六銃士の残り5人とまとめて戦うのも気が引けます」

会議場には5人の男女。
死んだヴァレンタインを除き、六銃士が全員揃っていた。

「5人で全員・・・・って事はヴァレンタインの死とGUN'Sの関連を知ってるのか
 地獄耳だなピルゲン・・・・・何をたくらんでいる」
「企んでいない・・・・と言いますとウソになりますかな。
 でも今回はむしろお役に立てないかと伺ったのでございます
 あなた方に得な情報を提供できればと思いまして」

六銃士は言葉をつぐんだ。
今、こんな時だ。
得な情報というのが何かはすぐ分かる。

・・・・シングルオブジェクトについてだ。

「・・・・・・なるほどな。最強ギルドである俺達がオブジェのために活発に動けば」
「邪魔な勢力がドンドン潰れていくって寸法か」
「さもよくばわいらの勢力も削れへんかいうことやな」
「あざといですわ」

「・・・・クク。さすが最強ギルドの六大オフィサー。頭も切れますね」

ピルゲンはヒゲを触りながら楽しそうに笑った。

「まぁお前の企みはともかく情報とやらはもらうとしよう。
 たしかにノドから手が出るほど欲しいからな」

ピルゲンは笑いながら、
懐から一枚の紙を取り出し、
真ん中の円卓へと置いた。

六銃士が覗き込む。
だが覗き込みながらもピルゲンへの警戒を怠らない六銃士。
面白い方々だと、ピルゲンは嬉しそうに見ていた。

「王国騎士団のブラックリストか。古いな」
「やっぱ《MD》やったな」

そう、それは王国騎士団が出していた賞金表。
今はただの紙切れでもあるが、
《MD》の情報が載っているとあれば紙切れとは言いがたい。
《MD》は少数ながら賞金総額世界一のギルド。
極めて情報の流出が少ないギルドであることも含め、
王国騎士団内でも情報は稀少で重要な類に入っていた。
全員分のリストが載っていた。

「名前の表記がないですわ」

「《MD》は通り名だけが世間に流出するだけでございますからね
 やっかいな連中でございますよ」

「と、言いながらもっと情報を隠しもってそうだが・・・・・まぁいいだろう」
「何人でどんなのがいるかってだけで違うからな」

六銃士の一人が紙を持ち、
一枚づつめくっていった。

「一枚目・・・・『人斬りオロチ』 賞金6800万グロッド・・・か。
 罪状はルアスでの100人斬り事件の犯人。および、その他にも殺人数件」
「怖い怖い。かなわんなぁ」
「一体懲役にしたら何百年になるのかしら。下品ですわね」
「型のできている殺人鬼ってのはなかなかにやっかいだからな」
「だが噂では女らしいぞ」
「女?チッ、女が剣かよ。剣道をなめてんのか?」

一人の男が剣に手をかけた。
剣に想いのある男なのだろう。

「『クレイジージャンキー』 4800万グロッド
 罪状 治安の悪いルアス99番街の駆除を行おうとした騎士団。その3っつの部隊を・・・・全滅」
「3部隊か・・・・いい数字だな」
「馬鹿馬鹿しぃわ。ひとりでそんな事できるわけないやろ
 部隊3っつってのは簡単に言えばB級ギルド3っつ分やで?」
「なにかしら誤報なんかが混じっておるのではなのかしら?」
「このスケール罪状で賞金額が5000万ぐらいってのは少ない」
「騎士団も誤報なんかを考慮してんやろな」
「犯人だろう・・・・という程度で5000万か」

また一枚めくる。

「『時計仕掛けの芸術家(チクタクアーティスト)』 4億とんで250万グロッド」
「ぉお!?なんぼやて?跳ね上がったな」
「これでもこのギルドの中では3番目の賞金額だ」
「罪状は窃盗。美術館や金持ちの家から美麗な芸術品の盗難」
「なんや、芸術品の価値を考慮しただけやないか」
「別に強さと比例した額ってわけじゃないんだな」
「さらに気に入らない芸術品は爆破するらしい。場合によっては家ごとな」
「気に入らない?金目当ての盗賊ではないのか」
「・・・・・芸術家と言われてるのはその辺りではございませんの?」
「まぁ損害賠償に近い形の賞金ってことだな。爆弾を使うと自然と被害も増えていく」
「噂では国宝級の物までヤったらしいからな」
「わらわのコレクションも盗られた事があってよ?まったく忌々しい」

唯一の女が顔を歪めた

「『隣人を愛する悪魔』 1800万グロッド。罪状 脅迫恐喝・および殺人
 どうやら死にそうな人間を標的にし、命のひきかえに大金を受け取っていたらしい」
「・・・・助けてたってことは聖職者やな」
「ヴァレンタインと関係あるのはこいつじゃないか?病院で生き残った部下の報告があったろ」
「あぁ、院内放送でヴァレンタインが名を挙げた奴・・・・じゃぁこいつがDr.レイズか」
「名も職も分かってるのでしょう?こいつを殺るのは簡単ですわ」
「せやけど白十字病院はもうGUN'Sの傘下やないし、大病院を狙うといろいろ問題あらへんか?」
「関係ないだろう。いざとなったら全て潰す。ボスの意向だ」
「でも様子を見た方がよくってよ。何かしら情報が手に入るかもしれませんわ」
「だな。白十字病院には数名まだうちのギルメンの医者が紛れてる。監視はし放題だ」

「『Queen B』 980万 罪状 乱射・及び店舗強奪 (時効)だと」
「時効っつっても今じゃどの賞金も無効だけどな」
「店を経営してるらしいやないか。時効やからってノンキなもんやな」
「じゃぁ居場所は割れてますの?」
「99番街は迷路みたいになってるし99番街自体入りづらい場所だ
 大きくもない街だがそれ故、逆にヨソ者はすぐバレるから捜索もしづらい」
「やけどな、明確な場所は分からないやろうが、探せばそう遠くもない時期に見つからへんか?」
「まずは見つけるだけだな。すぐに手を出すのは猿と一緒だ」
「まぁDr.レイズと同じで様子見やな。逃げられたらめんどうてたまらんわ」
「乱射・・・・って事は銃使いか。エンツォ。気が合うな」
「ハン、こんな小物わいの敵やないで」

その男は余裕な顔で両手を広げた

「『ロコ・スタンプ』 賞金5億8000万グロッド。だが・・・・こいつだけは犯罪者ではない」
「こいつに関しては誰もが知っとるところやわ」
「三騎士の養子だな。懸賞金違いだ」
「犯罪者じゃなく、討伐指定の凶悪なモンスターと同じ扱いか」
「"森に凶悪なモンスターが出ます。倒した方に金一封"・・・・ってか?」
「さらにどっかの金持ちが賞金を足したらしいしな・・・・・ルカ」
「あんさんも悪趣味なこったわ」
「だって三騎士の養子ですわよ?とてもとても・・・・・欲しいではないか。
 一生わらわのペットとして飼ってやりたい。飽きたら標本にでもしますわ」
「億万長者ってのはどいつもこいつも悪趣味だな」

「『人見知り知らず』 賞金580万グロッド
 罪状 カツアゲ、スリから窃盗、詐欺、強盗、強奪、etc・・・
 誰かれ構わず標的にする事から付けられたあだ名だそうだ」
「賞金がやけにショボいな」
「どんなギルドも人の質はピンキリですわ」
「罪状からして盗賊やな。ま、パシりかなんかやろ
 99番街らしきにチンピラ盗賊ってところやないか?」

「『ノック・ザ・ドアー』 賞金8億6000万グロッド」
「おーおー・・・・えらい大物が入っとるやないか」
「傭兵好きのマーチェか。偽名だろうけどな」
「罪状は言わずともだ。ルアス城での外門の壊し屋
 こいつが壊した外門は終焉戦争を含めて36枚。あの大門をすべて1・2発で破壊」
「こいつの年なんぼやったっけ?20くらいなんやったか。よぉやるわ」
「傭兵業ってことで顔は見た事ある。うちで雇った事もあるしな」
「あぁ、わいも見たことはある。どんなイカついやつか思うてたらとんだ印象違いやったわ」
「賞金額も頷けますわ。実力うんぬんよりもここ数年、
 この男のせいで騎士団は外門より外に兵をする意味がなかったほどですわ」
「そのリスクを考えれば当然の賞金額か・・・・」
「この『ノック・ザ・ドアー』が攻城開始と同時にぶっ壊してくれるからな
 庭園から攻城が始まるようなもんだ。騎士団にとっては大変だろうな」
「まぁわわら達攻め手としてはかなり助かりましたわ」

「メンバーはこれで全部か・・・・」
「戦闘面気をつけるべきなのは・・・・やはり『ノック・ザ・ドアー』と『人斬りオロチ』かな」
「あくまで戦闘面の話ですわ」
「だな、実際ヴァレンタインがやられているんだ。他のメンバーもあなどれないかもしれない」
「まぁ賞金額を目安にしてってもあながち悪ないやろ」

「いや、分かってねぇよお前ら・・・・・
 一番気をつけるべきなのは・・・・こいつとこいつだ」

六銃士の一人。
その男は
ブラックリストの山から二枚の紙を引き抜いあた。
それは・・・・

「『クレイジージャンキー』と『人見知り知らず』?」
「そいつらが一番安心なんとちゃうか?」
「いや、99番街で見たことがある。その『クレイジージャンキー』の逸話は本物だ
 とんでもない化け物だ。手間かけさせられた。
 それに『人見知り知らず』。そいつの賞金が少ないのは逆。抜け目ないから少ないんだ
 罪状を増やされるようなことはしない。着々と行動する小賢しい奴さ」
「・・・・詳しいな」
「・・・・なぁに。たいした事じゃないさ」

「ん?」

六銃士の男の一人。
その男はブラックリストの山の下に挟まっていた一枚の紙切れを手に取る。

「これはなんだ?紛れ込んだのか?」

「いいえ。そうではございません」

ずっと黙ってみていたピルゲンはニヤニヤしながら言う。

「騎士団の・・・・名簿の一つ見たいやな」
「・・・・・・・アレックス・・・・・オーランド?」
「第16番・医療部隊部隊長?・・・・・二職を極めたという『カクテル・ナイト』か」
「こいつがどうかしたのか?」
「騎士団のメンバーなんてみんな死んでますわ」
「もしかして生きてるのか?」
「んなアホな」
「いや・・・・生き残っている者の話を何個か聞いた事がある。
 ひとりはそこにいる・・・・・ピルゲン」

六銃士全員がピルゲンを見る。
ピルゲンはヒゲを整えてお辞儀をした。

「それと・・・・こいつは例外。騎士団のメンバーは全て終焉戦争で殺したが
 "唯一自力で生き残った"・・・・いや、"誰も殺せなかった男達"」
「王国騎士団最強無敵の竜騎士部隊。
 部隊長『矛盾のスサノオ』ロウマ=ハート率いる44(ヨンヨン)部隊か」
「『スサノオ』か」
「こいつとは会いとぅないな」
「そいつの話題はやめてくださらない?終焉戦争の時の悪夢が戻りますわ」
「まぁ今回は無関係だしな」
「これからも無関係でいたいもんだ」

「そしてここが核心。最近チラホラ流れている噂。
 オブジェ失踪の容疑者と言われてる男・・・・。
 それがこいつなのだろう・・・・・・アレックス=オーランド」
「名前まで分かったのはよかったですわ」
「よかねぇよ!こいつがオブジェ持ってかなきゃ俺達GUN’Sが世界を統一してたんだぞ!」
「チッ、だが何故《MD》がオブジェを所持しているという噂が流れているか分かったな」
「こいつが《MD》にいるってことやな。そうやろピルゲン?」

「おっしゃるとおりでございます」

ピルゲンはまた深くお議事をした。

「標的は分かったな。どうする。本格的に動き出すか」
「アホか、様子見に決まっとるやろ
 即効でオブジェを奪っても他のギルドがまとめてわいらを狙ってくるんやで?
 めんどぉてしゃぁないわ」
「他のギルドが先に《MD》からオブジェを奪ったらどうする」
「そのギルドを狙うまでですわ」
「この会議の主旨はもともとその件についてだからな
 先ほど決まったように弱小ギルドと中規模ギルドを中心に壊滅及び吸収を狙っていく
 王国騎士団並の力を付けなければ世界統一も長くはもたない」
「ならばその方向性を決めていくとしよう」

ピルゲンはそれを聞き、少し残念な顔をした。
様々なギルドが潰しあっていき、苦渋に満ちていくのを見たかったのだが、
ギルドの中心であるGUN'Sが大きく動かない。
手っ取り早くGUN'Sにいらないギルドの掃除をさせようという当初の目的とも違ってくる・・・・

「潰れたギルドについてだ。始まりは《ハンドレッズ》が潰れた日から
 突然オブジェの存在が世間に流れた・・・・・。これはピルゲン。お前の仕業なのだろう」

突然話をふられてピルゲンは驚いたが、
ヒゲを整えながら答える。

「はい、そうでございます」

「この日から世界中のギルドが動き出した。といってもまだ探り探りにだが・・・
 オブジェについての情報集め。そして馬鹿なギルドは片っ端からギルド潰し」
「よぉやるわ」
「腹が減ってる小型肉食獣はよく動くという事ですわ」
「そして昨日一斉に世界中が動き出した。引き金は・・・・言わずとも」
「《騎士の心道場》か」
「最近の話題の中では一番大型のギルドだ。その道場が炎上」
「派手にやってくれおったわなぁ。世間に公表してるようなもんやで」
「さらに、昨日、看板の戦士一人と『ナイトマスター』が死亡
 トドメはヴァレンタインがやったらしいが倒した奴がいるそうだ」
「信じられないな、アホだったが『ナイトマスター』の強さは本物だった」
「昔負けたんでしたわねスミス」
「あぁ・・・・まぁ今の俺なら負けないだろうがな、
 だがあのディアンを倒した奴が《MD》にいるって事だ」
「まぁなんにしろこれではアホなギルドでも気にしてしまいますわ」
「超がつくほどでなくとも、世間の知名度的には《騎士の心道場》はかなりのものだ
 オブジェに興味のあるやつは一斉にこの情報に飛びつく。そして探る」
「結果・・・・・・・・・情報が情報呼び・・・・たった三日でギルド戦争が乱発
 真偽分からぬままルアスを中心に57ギルドが壊滅か」
「もうギルド戦争といってもいい規模ですわ」
「別にえぇんとちゃうか?潰しあってもらうんのもアリやろ」
「それよりここ最近は大型ギルドが何個も潰れ始めてくれてて助かりますわ」
「あぁ、潰れた中でめぼしいギルドは・・・・あぁっと・・・・」
「詩人ギルドの《戦いのしらべ》やミルレスの《ミルレニスタ》、《DoomDoom》や《ランデム》」
「《騎士の心道場》ほどやないけどどこも大御所やな」
「あの下品なギルド《ピッツバーグ海賊団(BY-KINGS)》も潰れたらしいじゃないの」
「おぅおぅ、終焉戦争の15ギルド級まで潰れたんか」
「15ギルドっていえば・・・・フフ、《メイジプール》の噂知ってるか?」
「あぁ、終焉戦争でこき使いすぎてボロボロの魔術師軍団か」
「それまではTOP3に入るギルドやってんけどな」
「これを期に勢力を戻そうと動き出したらしい」
「どう動くっていうんや。
 ギルマスも死んで、オフィサーも数人死、人数は半分ほどになったっつー話やろ
 しかも新ギルマスはどっかの若いメスアマらしいやんけ」
「狙いは・・・・新カプリコ砦らしい」

六銃士は一瞬黙る。
そして六銃士の一人の女が言葉を発した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・敵ながら悪くない作戦ですわ」
「?・・・どういうこっちゃ」
「狙いはいろいろあるさ。
 一つは魔術師なら誰でも欲しがる伝説のフェイスオーブ"オリオール"
 カプリコが大切に保管してるって噂だからな。
 二つ目は、・・・・・案外オブジェ本体を睨んでるのさ
 《メイジプール》が《MD》の情報を掴んでるとしたら・・・・」
「居場所が分かるのは《隣人を愛する悪魔》と《ロコ・スタンプ》だけってことですわ」
「まだガキって噂の《ロコ・スタンプ》から狙いに・・・ってことやな」
「三つ目」
「まだあんのか?」
「欲しいものはカプリコ自体。つまりカプリコを味方に入れる気ですわ」
「なんやて?」
「できるわけないだろう」
「できるさ。この間、下の者が大金である情報を買ってきた
 99番街の情報屋『ウォーキートォーキーマン』って奴からだ
 情報は・・・・・・三騎士の正当な子供がこの間生まれたとの事」
「・・・・・・人質か」
「今は廃れしカプリコの唯一の光だ。なんでもいう事きくさ」
「仮に人質として価値がなくとも・・・・・カプリコの成長は早いものですわ
 3・4年もすればその三騎士の赤ん坊は《メイジプール》の主力」
「やっかいやな」
「・・・止めるべきだ」
「・・・・・・・・・・わらわが行きますわ」

女が立ち上がった

「ルカ、お前が積極的とは珍しいな」
「わらわもそのオリオールとかいうオーブが欲しいんですわ
 魔術師なら誰でも欲しがるといってばかりであろう?
 わららのコレクションに加えてあげたくてよ?」
「金持ちの道楽やな。私利私欲もそこまでいくと立派なもんや」
「道楽?結構ですわ。それにコレクションに加えてあげたいのはもう一つ
 ・・・・・・・・・・・・・・わらわの可愛い可愛い《ロコ・スタンプ》ちゃん」

ルカは舌をペロリと舐めた。

「さっそく準備ですわ。帰るわよピエトロ」

いつから、
いや、ずっといたのだろう。
真ん中の円卓の下。
そこにいたのは・・・ケティ。

「にゃ」

そのピエトロというケティはルカの足元にとびつき、顔を洗った。
そしてルカはピルゲンの横を通り過ぎ、
入り口から出て行った。

「魔女の子がモンスターの子を欲しがるか・・・・それは面白うございますね」

ピルゲンはそういい残し。
満足してその会議場を後にしようとした。

「ピルゲン。黙って返すと思ってんのか?」

一人の六銃士が立ち上がる。

「帰るのを止めれるとお思いでございましょうか」

ピルゲンは自信に満ちて笑い。
そして堂々とドアから出て行った。
誰も止めるものはいなかった

「放っておいてえぇんか?」
「・・・・たしかに止められなかったさ。ピルゲンの実力は本物だ
 それにあいつが何を企んでるか知らんが、ひとりで世界をどうこうできるもんじゃない」
「・・・・・・・気に掛かるがな」



そうしてこの日の世界最大ギルドの首脳会議は終わりを告げた






-GUN'S会議 終了-









                 






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