「世の中の悪は自分のぉおおお!自分の剣をもってぇえええ!
 悪はぁぁああ!悪は全て叩っ斬るぅううううううううう!」

剣を持って廊下に立ちふさがるリヨンという男。
な、なんてめんどくさそうな人だ・・・
こういう一直線型が一番苦手だ・・・
・・・・・あれ?

ふとアレックスはそのリヨンという男の腰に掛かっているもう一本のソードを見た。
それはどこかで見覚えが・・・
あれは・・・・
イスカさんに渡した名刀セイキマツに似てるけど・・・・
見間違いかな?
まぁ剣なんてどれも似たようなものだしなぁ

「おいアレックス。三択だ。1、ほっとく。2、事情を説明する。3、やる
 どれだ。10秒以内に答えよ。俺は1がオススメだけどな」
「そうですねぇ・・・・」

「見ていてくださいぃぃしはあああああん!悪は自分のぉ!自分の剣も持ってぇええええ!」

リヨンという戦士は突き出したソードを両手にしっかり握り締めて叫ぶ。

「僕的には2を選びたい所ですけど・・・・・向こうは3番一筋みたいですよ」
「ったく。世の中めんどくせぇ奴ばっかだぜ」

ドジャーは腰に手をかけ、
そして回転させながら両手にダガーを構えた。
アレックスも背負っていた槍を構える。

「クッソ。広い廊下とはいえ、戦うとなると狭ぇな」
「じゃぁドジャーさん頑張って。僕はめんどくさいので下がります」
「あぁぁん!?」

「ゆくぞぉおお!ゆくぞ悪党ぉおおおお!」

「ほら、来ますよドジャーさん!」
「カッ!めんどくせぇのは俺も一緒だってのによ!」

リヨンという戦士が二歩三歩とジリジリと踏み込んできた。
あの暑苦しい性格から馬鹿のように突っ込んでくると思ったのだが、
そこそこ熟練されているのだろう。
少し警戒した方がいいのかもしれない。

「ドジャーさん。剣は槍と違って基本的に斬る道具です。
 そして斬る動作には必ず"振りかぶる"動作があります。
 面だろうが胴だろうがです。そこをよく見る事が重要です」
「カッ!いちいち指図すんなって!お前は先公か!」

と、楽して自分に任せたくせにアドバイスを送ってくるアレックスにドジャーは強めに返したが、
ドジャーは言われた通り相手の剣に注目していた。
しゃくだったがアレックスの言うとおりだからだ。
怪我しずさっさと終わるならそれが一番である。

相手のリヨンという戦士の男の構え。
俗に言う"中段の構え"である。
剣が真っ直ぐこちらを向いている。
あれが振りかぶる動作をした時が一番のチャンスであり、
戦闘が一番早く楽に終えられる時だ。

「自分のぉおお!自分の剣を食らえ悪党ぅうううう!」

だが、予想は外れた。
というか盲点だった。
リヨンという男が放ってきたのは・・・
突き。

「チッ!」

予想外だったとはいえ、ドジャーは自慢の瞬発力で
その剣をなんとか脇腹にかすった程度に避けた。

「もう一度ぉおおお!もぉおおう一度いくぞぉおおおお悪党ううううう!」

リヨンという男がもう一度構える。

「ドジャーさん!やっぱ逃げましょう!」
「あん!?今更俺に退けってのか!?」
「そのリヨンという男の突き、かなりの腕前です!」
「カッ!なんでテメェが剣の腕が分かるんだよ!」

え・・・・
そういえばなんでだろ・・・・
剣の勉強なんてしたっけ・・・・
いや違う・・・逆だ

「いたぞ!放送で言ってた二人組みだ!」
「みんなこっちだ!」
「ピアスの盗賊とアホ面の騎士!間違いない!」

ドタバタと多くの足音が階段の方から聞こえたと思うと
すぐさま多くの人が詰め掛けてきた。

「ア、アホ面ぁあ!?」
「まてアレックス。たしかにめんどくなってきた」

ざっとこの廊下を敷き詰めるほどの人数。
たしかにめんどうである。

「ったく!だからオススメは"1"だっつったろ!?」

ドジャーは懐からまたジョーカーポークを取り出した。
そして地面に叩きつける。
そしてまたもやたちまち廊下は煙だらけになった。

「いくぞアレックス!」
「アホ面・・・・・アホ面・・・・・」

落ち込みながらアレックスは一目散に逃げたドジャーを追いかけた。

「凶悪患者が逃げたぞぉおお!」
「くそぉ!」
「悪党ううううう!悪党はどこ行ったああああ!
 自分のぉおお!自分の剣をもって悪党をぉおおおお!」

アレックスとドジャーはそんな声を尻目に
自分達はアレックスのホーリービジョンでなんなく廊下を突き進む。
そしてひとつのドアの前までたどり着いた。
プレートにはメッツとかかれている。
その部屋に飛び込む。

「アレックス!閉めろ!はやく!」

アレックスはすかさずドアを閉めた。
そしてホッと一息。
なんとか巻いただろう。

そんな時に後ろから威勢のいい声が飛んでくる。

「ガハハハ!よぉお帰り凶悪患者!」

メッツはベッドの上で笑い声をあげていた。
もうイスカの姿はなかったが、
メッツの口に生クリームがついている事から、イスカとのケーキ争奪戦には勝利のだろう。

「・・・・・・・・・・・・ったく・・・・・・病院でまでドタバタと・・・・・
 ・・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・・・・・・」

部屋の隅の影に隠れるように
この病院の白衣を着たレイズが立っていた。
メッツの診察に来たのだろう。
だがまぁそれにしても影が似合う。

「したくてドタバタしてんじゃねぇよ!」
「そ、そうです!変な子供に・・・・・」
「・・・・・・・・とにかく・・・・・お前らが死ねば解決・・・・・・・・・・・・」

少し笑いつつ、そう言いながらレイズは錠剤を2・3粒封筒のような白い紙袋にしまった。
メッツの薬なのだろう。
メッツはそれを見ると苦い顔をした。
そしてタバコに火をつけて話す。
横には病室にはあってならない灰皿が置いてある。

「んで、オメェらどうする気だ?」
「あぁ、窓から逃げる」
「ま、めんどくさい事はパスってのが一番ですね」

「ナメられたまま出てっていいの?(ペロペロ)」

突然病室のドアが開いた。
そして入ってきたのは悪がきリコス。
アメをナメながらアレックスとドジャーを見上げている。

「結局ナメられたまま逃げるなんて甘いよねー。ほんと甘すぎ
 だから人にナメられちゃんだよねー(ペロペロ)」

「んだとこのガキ!」
「お、落ち着いてくださいドジャーさん!」
「おぉおぉ!こいつが放送でしゃべってたガキンチョか!
 ガハハハ!こんなガキンチョにナメられてるなんてドジャーも大変だな!」

「うるさいぞモップ頭(ペロペロ)」

言いながらリコスはメッツからタバコを奪い取った。
そして灰皿に押し付ける。

「ボクはタバコが嫌いだ。こんなもの頭の悪い奴が吸うもんだ
 頭のいい奴は糖分を摂取するもんなんだ(ペロペロ)
 アメはいいよ。キャンディーは最高だよ
 あとボクはお前のような頭の悪い奴にナメられるのが一番嫌なんだ(ペロペロ)」

「こ・・・このガキィィ・・・・」

メッツのドレッドヘアーの下で血管が浮き出る。
病院なだけに血圧計でもとりつけてみたいものだ。
きっと針が振り切れる事だろう
レイズはその様子を人事のようにクックックと楽しんでいた。

「とにかくお前ら、ボクをナメた事後悔したか?懲りたか?
 そうなら許してやるぞ(ペロペロ)」

「うるせぇこのガキ!てめぇ何様だってんだ!」
「まぁまぁドジャーさん・・・・子供相手にムキになったって・・・・」

「・・・・・・・ここらで・・・・・・・・・お開きにしたらどうです・・・・・・・・・・」
「え?」
「おい、レイズてめぇ誰に言って・・・・」
「・・・・・・・・・・・病院にまで・・・・・・・迷惑をかけるのは・・・・
 ・・・・・・・・・・どうかと思いますよ・・・・・・・・Dr.リコス・・・・・・・・・」
「へ?」

「あーDr.リコスここにいましたかー!」

調度突然元気のよいナースが部屋に入ってきた。

「探したんですよー。早く診察に行ってください!患者さんが待って・・・・
 ってあーもー!また白衣着てない!ほら!」

ナースは小さなリコスの腕に白衣を通した。
ナースに身を任せながらも持ち替えながらリコスはアメをナメていた。
こう見るとまるで母に服を着せられる子供なのだが・・・

「うーん。まぁDr.レイズに注意されたらしょうがないなぁ。これぐらいでいっか
 んじゃ戻ろうかな。おい、お前ら。今度ボクをナメたら承知しないぞ(ペロペロ)」

「い、医者ぁ〜!?」
「この子が?」

「お前達とは頭の出来が違うんだよね(ペロペロ)」

ナースに急かされながらリコスはメッツの病室のドアの前に立った。
そしてナースに背中を押されながらも最後に言い残した。

「やい、お前ら。もっかいいっとくぞ(ペロペロ)
 人はナメてもナメられるな。ナメられるようじゃ終わりだぞ?
 ナメられるのはアメみたいに甘〜いアマちゃんだ(ペロペロ)」

そうしてリコスは部屋から出て行き、
ナースがパタパタと慌ててついていった。

「あの年で医者・・・・天才少年って奴ですか」
「フィリーの事といい世の中ガキの天才だらけかぁ?」
「・・・・・・・・ま、医者なんて・・・・・・・知識だけの問題だからね・・・・・・・・
 ・・・・・・・・だから詐欺も多い・・・・・・・・・・・・・」

レイズがまたボソリと小さく笑った。

「だからってガキに診察されちゃたまんねぇぜ!」
「だな!命の心配しちまうな!」
「・・・・・・・・・・・命の心配はないよ・・・・・・・」
「なんでですか?」
「・・・・・・Dr.リコスは・・・・・・・歯科医だから・・・・・」

「「歯医者がアメなめてんじゃねぇ!」」

ドジャーは思いっきり地面にダガーを投げつけた。
ガキにナメられっぱなしで終わったのがかなり気に食わなかったらしい。
結局のところ"ナメてもナメられるな"
リコスに言われた事のままなのが一番気に入らないのだろう。

「クソっ!当分見舞いこねぇからなメッツ!
 見舞いに来るほうが疲れる上にあんなガキがいる病院はまっぴらだ!」
「・・・・・・・・あぁ、・・・・・・別にこなくても大丈夫・・・・・・」
「あん?」
「・・・・・・・もうすぐ退院だ・・・・・・・・・メッツがいなくなると思うと楽だよ・・・・・・・・・・・・」

レイズがため息をつく。
と同時にメッツが飛び起きた

「マジかよ!」
「カカッ!まぁやっと手術は終わったわけだしな!」
「よかったですねメッツさん」
「おぉーよ!」
「・・・・・・・・・ただ当分は・・・・・それとなく安静にな・・・・・・
 ・・・・・・・・・・言っても無駄だろうけど・・・・・・・・・・・・・・」
「無〜駄だ〜!ガハハハハ!」

メッツの病室から発せられる豪快な笑声。
それは病院内に響き渡ったという。

そしてとりあえず

廊下にはまだアレックスとドジャーを探す人々がいることを
本人達は忘れていた。




















「しはぁぁあああん!自分は戦士として!騎士として!なさけなぃっっ!」
「俺様が寝てる間にそんな面白い話があったか」
「面白くなんか!自分はぁぁぁあ!自分は悪を野放しにぃいいいい!」
「それよりたしかにそいつらはアホ面の騎士とダガーを使う長髪の盗賊だったんだな」
「は、はぃいい!自分はぁぁぁあ!自分は師範に嘘は言いませんっっ!」
「あの盗賊と元騎士団の野郎か。最近奴らの面白い話をよく聞くな
 シンボルオボジェクトだったか?《MD》に元騎士。
 知らない奴は気付かないだろうがあいつらの事だろう
 リベンジついでに道場の資金稼ぎといくか!」
「!! 師範!試合ぃい!試合でございますかぁぁあああ!」
「あぁリヨン。ツィンとヤンキを呼んでおけ"騎四剣"を召集だ。
 今度こそ俺様『ナイトマスター』ディアン様の力を見せ付けてやるよ
 NA〜〜HAHAHAHAHAHA!!!」










                 






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