「10・・・11・・・・」
「あ、あっちにもいます!」
「何体おるのだ・・・」
「満員御礼ね・・・・商売あがったりだわ・・・・」

燃えるミルレスの町の中。
火災の中に立ちそびえる10を超える量産型スマイルマン。

「・・・・・・クック・・・・・・俺らをバラバラに手術するってよ・・・・・・・・・」
「ロボットに分解されたら笑えないですよレイズさん・・・・・」

地獄行きの案内人は、
赤い無機質な目でアレックス達を見据えている。
ロボット大魔神スマイルマン。
しかも10体以上。
戦いたくないこと山の如し。

「無視・・・・できないですかね・・・・」
「あ、それ名案」

と、言いながら、
見回す。
だが、
スマイルマン達はこちらを凝視している。

「熱い視線ね・・・」
「あの鉄造りのレディ達はあなただけを見つめてるってよ」

確実に狙われている。
当然といえば当然。
敵は《MD》と44部隊だけなのだ。

「・・・・・・・・・・・そんなに見つめちゃ嫌ん・・・・・・・・・・・」

レイズの一言に全体は青ざめた。
まさかレイズがそんな事を言い出すとは思わなかった。
彼なりのギャグだったのだろうが、
ロボットより何を考えてるのか分からない。
一同の引き笑いがハモった。


「おいアホ共」

グレイが《MD》一同に言う。

「だ、誰がアホよ!」
「僕じゃぁないですね」
「俺でもないな」
「拙者なわけがない」
「・・・・・・・・・俺じゃないよな・・・・・・・・・」

「"共"って付けただろがこのクソアホ共
 窮屈なゴミ箱(99番街)で仲良く生きてきたからか?」

5人の頭に同時に血管が浮き出る。

「「「「「死ねばいいのに」」」」」

アホ共の声がハモった。

「・・・・・・・仲いいなアホ野郎共・・・・・・それよりケツの穴広げて見てみろ。
 無機物だってクソするのかもな。我慢の限界らしい。構えろ」

グレイは一点を見据えた。
それは見上げた形。
つまり見た先は・・・・
一体のスマイルマン。
煙を噴き上げ、
機械ながらやる気マンマンに見える。

「やるぞ。俺に続け」

グレイが命令する。
《MD》を全員下に見ている口調。
つまり、
44部隊である俺が先導してやるから、
スマイルマンを倒すぞという意志。

「なぁ〜にが俺に続けよ偉そうに!誰様?!」
「拙者はマリナ殿の後にしか続かぬ」
「・・・・・・・・・・・一人でつっこんで死ねばいいのに・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・潰されて・・・ペシャンコになればいいのに・・・・・・・・」
「大体あんなもんをまともに相手する方が馬鹿げてんだよ!
 これは映画じゃねぇし、俺達は無理に危険を冒そうなんて思わねぇ!」

ドジャーがグレイに指を突き刺しながら言ったが、
指を突き出すと同時、
あらぬ方向から音が聞こえた。
それは電子音のようで、
泣き声のようで、
電気の弾ける音。

スマイルマンが攻撃してきた・・・・・と思い。
一同は咄嗟に振り向くが、
違った。

目線の先には数人の男達と、
その中心で、小さな爆発と放電を繰り返し発しながら崩れていくスマイルマン。
一体のスマイルマンが壊れたのだ。

「見ろクソ野郎共。先越された」

グレイがポケットに手を入れたまま
ペッとツバを吐き捨てた。

「先を越された・・・・?」
「まさか・・・44部隊はもうスマイルマンを1体・・・・・・」

アレックス達がぐだぐだとしゃべっている間。
44部隊はすでに一体のスマイルマンを処理していたのだ。
"部隊"だからこその早く、的確な処置。
いや、それ以上にこんなに簡単にスマイルマンを1体倒す強さ。

「ふむ。倒せない事もないようだな」
「ってか結構弱いんじゃないの?あのスマイルマンってさ!」
「・・・・・・・・・・・量産型だしな・・・・・・・・・・」
「カッ!じゃぁ普通のスマイルマンより弱いかもか!なら俺達でも行けるぜ!!!!
 あんだけ的がでかけりゃダガー当てるのはリンゴに刺すより楽だからな!」

ドジャーが右手に4本のダガーを用意したのをきっかけに、
マリナはギター。
イスカは剣。
レイズはスタッフ。
アレックスは槍を構えた。

「行くぜ!クソったれの力を見せてやろうぜ!」

ドジャーが先陣を切って突っ込んだ。
燃えるミルレスの町の中、
巨大な巨大なスマイルマン。
大きな二つの腕を広げる鉄の塊。

「ご馳走をくれてやらぁ!!!」

ドジャーが走りながらダガーを投げる。
燃える町の火に反射する4本のダガー。
炎の間を縫い、
スマイルマンに一直線。

そして4本のダガーは・・・・
カキンカキンと鳴り響いて無情に地面に落ちた。

「あの人に学習能力はないんだろうか・・・・・」

アレックスがため息をついている横を、
赤いドレスが横切った。
ブロンドの長い髪をなびかせながら、
マシンガンを持った料理長がアレックスの前でギターを構える。

「マリナさんはお客を選ばないわ!
 ロボットだろうと子犬だろうと料理してあげるのが酒場の店主よ!!!」

同時に、
ギターの先端からマシンガンの弾が発射される。
無数の弾丸。
乾いた音と共に連射される鉄弾(ミートボール)。

だがそれも、効果音にするとカカカカカカン。
大きく屈強なスマイルマンの装甲に、
弾の数だけ小さな凹みを入れただけだった。

「・・・・・・・無理・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・・・・」

レイズはすでに両手を広げて諦めていた。
ドジャーとマリナでダメージを与えていないに等しい。
イスカの剣であの巨体を斬りようがないし、
アレックスの槍も同じ。
特にレイズとアレックスは聖職者だ。
パージフレアなどスマイルマンの下からチョロンと出しても股間が焼ける程度だ。

「手を出すだけ無駄ですね・・・・・」
「・・・・・・・・・・だな・・・・・・・・」

そう言っていると、
スマイルマンの大きな鉄のお腹の真ん中に、
小さな小さな何かが見える。
スマイルマンのヘソかと思ったが、
人型。
ぶら下がっているように見える。
そして・・・・
イスカにも見える。

「ぬ、抜けぬ・・・・」

アレックスとレイズが同時にため息を吐いた。
イスカの強さは重々承知だが、
いきなり剣で、
それもスマイルマンの中心に剣を差し込んだところで無駄に決まっている。
ようやく剣が抜け、
地面に落下して尻餅をつく女侍の姿は、
なかなかコミカルで頼りない。

「クソッ!44部隊にできてなんで俺らにできえねぇ!」
「・・・・・・・できる事とできない事が・・・・人にはある・・・・・・・・・・」
「いや、拙者らにできぬ格でもないはず」
「まぁ・・・・相性が悪いですね」

自分で言って思った。
《MD》の人達は強くなるために強くなった人達じゃない。
生き残るため、勝ち残るために強くなった人達だ。
つまるところ、いつも敵は人間。
99番街という生き残り競争の中、人間とばかり戦ってきたのだ。
つまりドジャーを筆頭に、
"対人間"型の戦闘タイプの人達ばかりなのだ。
鉄の塊となど、戦う術も持っていないのは当然。
相性が悪い。

「んじゃどうするのよ!」

「あ〜あ。ガッカリだ」

グレイがポケットに手を入れたままため息をついていた。
完全に見下していた。

「クソガッカリだな。あれは自信て概念のない無機物。あんなもん"聳え立つクソ"だ。
 だが、そんなクソの始末もできねぇとは・・・・それ以下。便所紙以下だてめぇら。
 俺ぁ足引っ張られるのはゴメンだ。マイパーティと戦ってくるぜクソ野郎共」

グレイは最後にツバを吐き捨て、
すぐさま自分の仲間達である44部隊に合流しにいった。
グレイの向かった先。
そこではすでに次のスマイルマンを半壊させている44部隊の姿。
《MD》の面々を見限ったのだ。

「・・・・・・・・・くそ・・・・・・偉そうに・・・・・・・・」
「でも実際僕達じゃぁ相手できませんしね」
「いいんではないか?主旨がズレてる」

イスカが冷静に言った。

「最初からここらの戦線を任せるために44部隊を引き入れたのだろう?
 拙者らの目的はあくまでオブジェとエクスポの救出だ。余計な手間など・・・・」

エクスポの救出。
何も知らないイスカから出た言葉。
その言葉にドジャーは唇を噛んだ。
そしてアレックスを睨んだ。
余計な事は言うなよという視線だ。
分かっている。
言う必要はない。

「そうね。悔しいけど目的が一番だわ」
「・・・・・・突破か・・・・・・」
「カッ!それが一番だな」
「どこに突破するんですか?」

アレックスが確信的な事を言う。

「え・・・・」
「そりゃぁ・・・・・」

そう、
一番重大な事だった。
まだ《GUN'S Revolver》の本拠地を突き止めていないのだ。
どこを目指せばいいのか、
どこに向かえばいいのか。
全く分からない。
だからこそ未だにミルレスの真ん中にいる。


「うろたえるな。時は来る」

低く、どこまでも突き通るような声。
振る向くと、
そこにいたのはロウマだった。
2mを超える巨体とその威圧感。
目の前で初めてみたイスカとマリナとレイズは、
少しそれに押されそうになっていた。

「時は来るってなんだよロウマさんよぉ」

「このロウマの部隊のナックルという者に別行動をさせている。
 目的がないならナックルからの連絡待ちでもしていろ」

そうだけ言い残し、
ロウマはまるでアレックス達をどかすかのように目の前を通り過ぎる。
通り過ぎたロウマの大きな背中。
全てを背負えるかのような大きな背中には、
矛盾と書かれたマントが炎の風にゆらめく。
そして広げた巨大な二本槍。
その向こう側には・・・・・・・・・スマイルマン。
アレックス達が先ほどまで相手にしていたスマイルマン。

「喰ってやろう。"弱ささえ無き者"よ」

まるで地面を砕くかのように、
地面ごと蹴り飛ばすかのように、
ロウマは地面を蹴って跳んだ。

空中を舞う巨体。ロウマ=ハート。
最強は跳び、
宙で二つの巨槍を広げる。
片方4mを超えるその巨槍は、
宙で広げると大きな翼のようだった。
炎上を舞う最強。

そんな風に見惚れていると、
大轟音が奏でられていた。
鈍く、重い音。
気付くと、
ロウマの二本の槍が、
スマイルマンの大きな大きなボディの真ん中に突き刺さっていた。

「消えろ。鉄屑が」

いや、突き刺さっていたなんて生易しいものではなく、
槍が突き刺さった二箇所を中心にクレーターのような凹み。
スマイルマンの鋼鉄の体が、まるでアルミ缶にペンを突き刺されたかのよう。

「くだらん。喰い概の無いものだ」

ロウマはスマイルマンから槍を抜く。
そして轟音を立てて巨体が地面に着地したかと思うと、
すでにロウマはスマイルマンに背を向けていた。

「どんな固き物も・・・・・・堅き意志の前では儚き・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・」

ロウマが二本の巨槍を広げた瞬間。
その背後。
スマイルマンが大爆発。
無残に破片を散りばめながら崩れ去った。

燃えるミルレスの中。
爆発し降り注いでいるスマイルマンの破片の中、

ロウマは何事もなかったかのようにまた戦場のどこかへ消えていった。

「・・・・・・・・・」

《MD》のメンバーは無言になっていた。
それはそうだ。
さっきまで5人がかりでどうにもならなくて愚痴愚痴言ってものが、
たった一撃で破壊されたら言葉も出ない。

「・・・・・・・・・・・仲間で良かったな・・・・・・・・・・・」
「そ、そうね。あんなのと44部隊がいればここらは任せれるわ・・・・・」
「それでいいんですか?」

アレックスが言う。
それはメンバー達も抱いていた思いで、
言われたくなかった事でもあった。

「・・・・・・・・ケンカを売ってるのか・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・」
「カッ!そうだぜアレックス。俺らと相性が悪いっつったのはてめぇだ。
 俺らにアレがどうにかできるってのか?あ?どうなんだ?」

ドジャーがアレックスの胸ぐらを使いかかる。
が、アレックスが笑顔で返す。

「できますよ」
「なに?」

ドジャーが手を離す。

「まぁ5人がかりでならって話ですけどね。
 ロウマさんはともかく44部隊でさえチームプレイで倒してるんです。
 僕達もそれでいきましょう。それにグレイさんにあんな事言われちゃ黙ってられないでしょ?」

笑顔で言うアレックス。
アレックスはこういう部分で、
味方に自信をつけさせたり、やる気にさせるのがうまい。
というかアレックスがやれるといえばできるような気がしてくる。

「で、どうするのだ」
「そうですね。まず僕達は破壊力という点であまり特化してない5人なんですが・・・・
 まぁ・・・・・・・嫌でもなんでもちょっと僕の指示通り動いてもらえますか?」

ドジャー・マリナ・イスカ・レイズの4人は顔を見合わせた。








目の前には巨大なスマイルマン。
10mを超える大きさ。
大きな家の上からまるまる体と顔が出る大きさ。
巨大なボディから生える巨大な二本腕。
そして無機質な赤い目の顔。

その前に立つ5人。

「また俺はこんな役かよ・・・・つまんね・・・・」
「地味だけど一番重要な役なんで我慢してください」
「カッ!!!じゃぁ行くぜ!!!」

ドジャーの周りに風が巻き起こる。
ブリズウィク。
ドジャーはスピードを上げ、
そして走り出す。
スマイルマンに一直線・・・・・・・・・ではない。
スマイルマンの周りを走り回る。
飛び回る。
簡単に言う所の誘導。
速度のあるドジャーにターゲットを絞らせつつ絞らせない。
まぁいうところのオトリ。
見た目はさながらスマイルマンの周りを飛び回るハエのよう。
ドジャー蝿
うざそうだ。

「マリナさん準備いいですか!?」
「料理人は用意ができててなんぼよ!!」

アレックスの横。
そこでギターを突き出しているマリナ。
その先端にはマジックボールの弾丸。
だがそれは弾丸なんて生易しいものではなく、
強大なマジックボール。
マリン戦で見せた全力のマジックボール。

「ドジャーさんに当てないでくださいよ!」
「当てるつもりでいくわ!」
「ハハッ、それもいいですね」

アレックスが笑った後、
マリナも笑い返し、そして・・・・・・・・

「MB1600mmバズーカぁぁぁあぁ!!!」

放った。
マリナのギターの先から放たれた巨大な丸い魔力球。
それは燃えるミルレスの炎をかき分けながら、
まっすぐスマイルマンの中心を狙う。
そして・・・・

鈍く響く轟音。
直撃した。
マリナの巨大なマジックボールは
スマイルマンの大きな大きなボディの真ん中に、
大きな大きな凹みをつけた。
だが、凹んだだけで大きなダメージにはなっていない。
装甲を大きく凹ましただけ。
だがスマイルマンは大きく傾く。

「今です!チャンスですよレイズさん!イスカさん!!!」

「叫ぶな。分かっておる」
「・・・・・・・行け・・・・・イスカ・・・・・・・・・・」

大きな大きなスマイルマン。
それと相反し、
イスカは地面スレスレを低姿勢で走りこむ。
低滑降の鳥のように・・・・
そしてその鳥は・・・・・・・・・・急上昇した。
イスカが跳んだのだ。
飛んだのだ。
スマイルマンに一直線。
空中にイスカが羽ばたく。

レイズはその時点で十字を切り終わる。

「・・・・・・・・・ホンアモリ・・・・・・・・・」

レイズが指を突き出すと、
空中にいるイスカに、
力の源。
剣のビジョンをした力のエネルギーがイスカに注ぎ込まれる。

「先ほどは愚かだったが・・・・全身全霊を込め剣を信じれば斬れぬものなどないはず!!!!」

イスカが空中で叫ぶと同時。
剣を振り上げる。
それはスマイルマンの中心から少しずれた所。
こちらから見て左にズレた所。
いわゆる・・・・・・・・スマイルマンの右腕。

「斬っ!!!!」

イスカが空中で剣を振り切る。
体ごとスマイルマンの腕を突き抜けるように。
ホンアモリで強化されたその大きな一振りで・・・・・
太さ直径3mはありそうなスマイルマンの右腕が吹き飛んだ。

斬った右腕の向こう側の空中で、
イスカは剣を振り切った状態で言う。

「カージナル殿・・・これが剣を信じるという事なのですな・・・
 拙者もとうとう・・・・・・鉄を裂く風にも成りえたか」

何mもあるスマイルマンの大きすぎる鉄の腕は、
地面に砂煙をあげて落ち去った。

「ありがとうございます!!!予想以上です!!!」

アレックスが叫ぶように御礼を言う。
だが突っ立ちながらではない。
先ほどまでいた所からでもない。
アレックスは走っていた。
全力で走っていた。
スマイルマンに向かって?
いや、合っているようで違う。

アレックスが走っているところは・・・・・・スマイルマンの左腕の上。

「なるほど。そういう事ね」

マリナは、
スマイルマンの左腕を駆け上がるアレックスを見て納得した。

「スマイルマンの体なんてほとんどはデブッチョで大きな胴体だもんね」

スマイルマンの容姿。
それは大きなダルマのような体から、
大きな大きな両腕が生えている形。
パーツでいうと、
頭と胴体・・・・・・・・・・そして左腕と右腕。
これだけなのだ。

「その片腕を切り落としちゃえば」
「・・・・・・・巨体で・・・重いが故に・・・・・一瞬もう片腕の重心が落ちるという事か・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・クク・・・・・・スマイルマンの腕を階段代わりにするとは・・・・・・・・・・・・」

そう言いながらレイズはホンアモリを唱える。
唱える先は・・・・スマイルマンの上を走るアレックス。
すでにスマイルマンの左腕から胴体に飛び移っている。

「胴体の方は滑りますね・・・」

だが、這い登るようにスマイルマンの体を駆け上がる。
そして駆け上がるアレックスの右手。
そこには蒼白く、轟々と燃え輝くオーラランス。
アレックスもここまでただ指示をしていたわけではない。
生成に時間のかかるオーラランス。
指示をしながら生成していた。
万遍ない効率。
そして・・・・・

「頂上です!!!」

スマイルマンを登りきった。
そこはスマイルマンの頭。
単純な思考をするなら・・・頭が弱点だろうという考え。

アレックスはスマイルマンの頭の前に立つ。
そこには、

「遅いぜ相棒」

誘導に専念していたドジャーがすでに待機していた。
片手にはレイズのホンアモリ付きのダガー。

「そりゃぁ・・・すいませんね!」

アレックスが到着するなり、
ドジャーとアレックスは片手でハイタッチする。
そしてアレックスは右手に槍を、
ドジャーは左手にダガーを振りかぶり、

「ご馳走を!」
「くれてあげます!!!」

スマイルマンの右目と左目に・・・・・・突き刺した。

「ガガッガガ・・・・・・・ピガ・・・・・・・・」

スマイルマンが電気をバチバチと放電する。
と同時によろめく。

「うぉ、」
「わわ・・・・」

ドジャーとアレックスがスマイルマンの上から落ちる。

10mの高さ。
3・4回建ての建物の高さ。

「チッ、」

ドジャーは軽やかな身のこなしで地面で受身を取るように回転して着地し、
アレックスは最初から落下地点も予測していたようで、
近くの燃える木の上に落下してすぐに降りた。

そしてバチバチと頭から放電し、
よろめき、機械であるのに苦しんでいるかのようなスマイルマン。
その前に、アレックス・ドジャー・マリナ・イスカ・レイズの5人が、
もう一度揃う。

「や、やったか!?」
「え?!倒したんじゃないの今の!?」
「どなのだろうか・・・」
「・・・・・死んでてくれればいいのに・・・・・・」

だが・・・・錯乱というか・・・
壊れたというか・・・・
正常ではないが、スマイルマンは暴走したかのように大きな左腕をブンブン振り回していた。

「全壊はできなかったようですね・・・・」
「はぁ!?できるっつったじゃねぇかおめぇ!!」
「頭だけ破壊して壊せるなら最初からそうしますからね・・・・・
 なんというか・・・あと一歩・・・・・・トドメとなる大きな衝撃が足りません・・・・・」

やるならマリナのMD1600mmバズーカか・・・
だが、全力を使い切ったからこそスマイルマンを傾かせるほどの威力があったのだ。
マリナの魔力は今カラッ欠。
すぐに補充しなければならない・・・・。
そんなヒマがあるだろうか・・・

「くそぉ・・・・」

どうにか胴体に大きなダメージを与えなければならない。
だが・・・その術がない・・・。
つまり・・・・・
いや、倒せないはずがない。
何故ならスマイルマンは一度倒しているのだから・・・。
そうだった。
一度倒しているのだ。
いや、だが・・・・・その時はどうやって倒したか。
分かっている・・・・・
その時は・・・・・・・・・・・・


「足りないなら手伝うよ」

どこからか声がした。

「ま、"手伝った"の方が正しいけどね」

また。
聞いた事のある声だ。
酷く、聞きなれた声だった。
どこからか・・・・
と見渡すと、

一つの影がスマイルマンの頭の上にあった。

見たことのなる姿だ。
酷く見覚えのある影だった。
その影が飛び降りる。
軽快に着地したその人影は、

真っ直ぐアレックス達の方を見据えていた。

「やっぱりボクがいないと駄目だな君達は。いいかい?」

その男が軽く笑うと同時。
その男が一言だけ言うと同時。


「芸術は・・・・・爆発だ」


スマイルマンの至る所が・・・・爆発した。

まるで計算されたような爆発。
理論と計算と時間に裏付けられた、芸術的な大爆発。
そう。
そんな事が出来るのを・・・・アレックスは一人しか知らない。

「あぁ・・・・・美しいね。この儚さ。積み重ねた者が華々しく弾けるこの瞬間!
 この刹那!この瞬間!この一瞬一瞬を感じるたびにボクは生きていると感じるよ!」

満面の笑顔の中、震えて感動している男。
感動しながらも歩みをこちらに向ける。

「絵にはなるけど悲しい炎に焼かれるミルレスの町。美しくないね。
 けどそんな場所に美しさを示すなら、美しさを産むのなら、
 それはきっとボクのような美を知る芸術家(アーティスト)に他ならないよね」

間違いない。
あの口調、言葉。
着飾った身なり。
そして爆弾。

「エ・・・・・・・エクスポ・・・・・・・」

「なんだい美しくない。死人を見るような顔しないでくれよ♪」

エクスポは笑顔のまま、
右手の人差し指の上で爆弾をバスケットボールのように回していた。










                 






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