狭い一室。
そこに1人の眼鏡の科学者がいた。


「うぅん・・・・ここはもう少し煮詰めた方がいいかもしれないな」

一つのフラスコを持っての独り言。
彼の名はミダンダス。
ルアス99番街の古宿の地下で研究する事が生きがいだ。
素晴らしい研究の発明。
後世に名を残す。
それだけが生き甲斐。
だが、
アレックスとドジャーからオブジェの管理を頼まれている者でもある。

「いやいや、こんな研究では後世に名を残せませんね」

また独り言。
研究に夢中。
ミダンダスは眼鏡を人差し指でクィっとあげた。
机の上に開きっぱなしのスペルブックをレンズ越しに眺める。


「熱心なものだなミダンダス」

ふと声がした。
入り口のほうを見る。
そこには1人。
いや、2人。
女を肩に抱いた長髪の男がいた。
見覚えがある。
当然だ。

「やぁ、ジャスティンじゃないか。久しぶりですね。
 えぇーっと・・・会うのはいつくらいぶりでしたか・・・・たしか10ヶ月ぶりくらい・・・・・・・・・・」

「全然違うよ」

ミダンダスはドジャー達と会ったときと同じような事を言う。

「そうだったかな?まぁこんな地下に篭ってると時間の間隔が分からないもんでしてね」

ミダンダスは眼鏡をクィっとあげた。
そしてまたスペルブックを眺める。
そしてフラスコを揺らす。
すでにジャスティンより自分の研究に興味があるように。

「で、今日は何の用ですか?」

「命日を伝えに。・・・・・・・・・・・いや、正しく言うと命日を届けに・・・・かな」

「つまらない冗談ですね」

ミダンダスは少しだけ愛想笑いをした後、
余所見をしたまま、
塞がっていない方の手でスペルブックのページを一枚めくった。

「あぁ、そういえばこないだドジャーも来ましたよ。変な騎士をつれていましたね」

「やっぱり来てたか。だろうと思ったんだ」

ジャスティンはニヤりと笑みで口を歪ました。

「そう思って俺は今日ここを訪ねたんだ」
「ヒャーーハッハッハハッハ!なら話は早ぇえなぁ六銃士様よぉ!」
「そうだな」

気付くともう一人。
ジャスティンの後ろ。
男が居た。
鈍い赤い・・・赤い髪。
右の頬に火傷の後がある。

「君は誰だ?」

ミダンダスが不思議そうに問うと、
赤髪の男は答えた。

「俺?俺ぁダニエル。ダニエル=スプリングフィールド。世界で点いては消える灯火だぜぇ〜?
 有名な通り名は『チャッカマン』ダニエルってか?・・・・・・・・下手に触れると火傷しちゃうぜん♪」

「あぁ、そうですか。それはどうも」

ミダンダスは興味無し。
自分の手のフラスコを360度いろんな角度から眺めるのに必死だ。
それが気に入らなかったのだろう。
ダニエルは叫ぶ。

「そうですかじゃねぇんだよぉぉおおおお!!!!」

赤髪の男。
ダニエルが一歩部屋に踏み出した。
が、
突然足が動かなくなった事に気付いた。

「あぁ〜ん?なんだこりゃ?」

「無駄ですよ。この部屋全体が大きなホーリーディメンジョンの魔方陣です。
 研究と関係ない方はお引取り願いたいですね。研究の邪魔です」

「邪魔ぁあ?邪魔とは失礼だなおぉーい!俺はこの六銃士様によぉ!頼まれてきたんだぜぇ?
 あるものを炭屑にしてくれってなぁ♪分かるよなぁある"者"!燃えるねぇ・・・燃えるぜぇ!
 だからこれから楽しい楽しい時間なんだ。火遊びはいつも楽しいん・・・・だ・・・ぜ♪」

ダニエルが指をパチンと鳴らす。
するとダニエルの指から火花がバチンと散った。
さすがのミダンダスもフラスコを置き、
眼鏡を持ち上げた。

「炎系の魔術師・・・・ですか」

「ほほ〜。さすがの『ロストプロフェッサー(失われた研究者)』も身の危険を感じたかぁ?
 セーフティな状況だろうがなんだろうが火ってのは・・・ヒィ〜〜って感じだもんなぁ!」

「身の危険?愚問ですね。私は後世に名を残す事だけが感情。
 この状況で危険を感じるとしたら研究が燃える事ぐらいでしょうか」

「ん?ま、いいや。早く燃やさせてくれよ。な?燃やさせてくれよ?燃やしたいんだよぉ〜〜・・・・
 燃える遊びって心まで燃えないか?俺ぁそんな遊びがだぁーいすきでなぁ!
 バァ〜ベキュ〜がしてぇんだ。な?しよっぜ〜?焼肉パーティ〜しようぜ〜〜〜?」

ダニエルが両手をグッっと握る。
そして開くと・・・
両手には炎が渦巻いていた。

「ママ〜!今日のBBQのお肉はなぁ〜にぃ〜?
 はぁ〜い♪それはねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミダンダス君の丸焼きよぉ!!!」






数分後


ルアスの99番街外れの振る宿は炎に包まれた。
人知れず。
轟々と燃えた。
埃をかぶった家具も燃え尽き、

地下の一室まで燃え尽きた。



・・・・・・・・
1人の眼鏡の科学者を含めて。











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S・O・A・D 〜System Of A Down〜

<<2人の女と病院と感染>>










ミルレス白十字病院。
その中。
最上階の一番奥の部屋。
そこは院長レイズの部屋。
昔はヴァレンタインの部屋だったそこを、
今はレイズが使っている。
大きくも狭くもないその部屋。

窓枠の上にはチェスター。
片足を外に投げ出して足をブラブラさせている。

ドジャーにレイズの護衛をしろと言われ、
まぁそれを素直に実行しているわけだが、
まぁチェスターにとってはこんな窮屈な部屋にいるのはツラい事この上ない。
おおざっぱな性格のチェスターはレイズと会話しても面白くない。
頭の上の猿。
チェチェと人語と猿語で語りながら時間を過ごしていた。

そんな院長室。
当の院長レイズ。
レイズは今、

「院長せんせー・・・・わたしは死んじゃうの?」

その部屋で1人の子供の患者を診ていた。
椅子と椅子で向かい合うレイズと女の子。
レイズは無愛想に言った。

「・・・・・・・・手術を受ければ・・・・・・大丈夫だ・・・・・・」

「手術なんてイヤだ!どーせ死んじゃうんでしょ!?」

「・・・・・・・・何故だ・・・?・・・・・・・」

「新しい院長せんせーは怖い人だってみんな言ってた!
 すぐ死ねとかそういうこと言う怖いせんせーだって!
 手術っていいながら私も殺しちゃう気なんだ!どーせ私は死んじゃうんだ!」

女の子は泣きながらレイズに言った。
レイズは前髪を顔にかけたまま、
女の子に言った。

「・・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・」
「ちょ、レイズ」

窓枠に座っていたチェスターは慌ててレイズに声をかける。
心配そうに。
 
「あのさっ、レイズ。オイラじゃ医者とかの事よくわかんないけどさっ。
 小さな女の子の患者にそんな言葉は・・・・」
「・・・・・・・・・・・チェスター・・・・・・・黙ってろ・・・・・・・・」

レイズは片手でチェスターを静止し、
前髪がかぶっている目は女の子を見つめたまま話を続ける。

「・・・・・・・・・・手術を受ければ治ると・・・・・・・・言ってるだろ・・・・・・・・・・・」

「でも・・・」

「・・・・・・・治りたいのに・・・・・治らない患者は沢山いる・・・・・・・・・だがお前は治る・・・・・・
 ・・・・・・・・・・なのにその一歩を踏み出さない奴など・・・・・・・死ねばいいのに・・・・」

「・・・・・・・・・・死にたくない」

「・・・・・・だろう・・・・・・・・・・・いいか・・・・俺は聖者じゃない・・・・・・医者だ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・人から金をもらわなけらば・・・・・・・命など助けない・・・・・・・・・
 ・・・・・・だがお前の親からは金をもらっている・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・だから・・・・・・・・・・お前を全力で治す・・・・・・・・・・・・・・・」

レイズは手術の恐怖の涙で溺れる少女の肩に、ポンと手を置いた。

「・・・・・・・・・俺は善い男ではない・・・・・・・・・実際お前に情など微塵もない・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・だが、助ける・・・・・・・お前が可哀想だからじゃない・・・・・・
 ・・・・・・・・お前が患者だからだ・・・・・・・・・・そして俺が医者だからだ・・・・・・・・・」

レイズはふと部屋の机を見る。
昔はヴァレンタインが居た場所。
その空間に面影を見た気がした。
レイズはまた女の子の方を見る。

「・・・・・・・・・・・そんな俺にも・・・・・・・・・お前を助けるために理由が一ついる・・・・・・・・・・」

「お金じゃないの?」

「・・・・・・・もう一つ・・・・・・・・・・それは・・・・・・・・・・・・・・助けを請え・・・・・・・・・・」

レイズみたいな怖い男が「助けを請え」。
チェスターは傍から見たらもの凄い怖い風景に見えた。
だがシリアスな場面なので黙ってみてた。

「・・・・・・・・・・俺は・・・・・助かりたい人間・・・・・・助けを請う人間しか助けない・・・・・・・・・
 ・・・・・・・愚かだろうが・・・・・なんだろうが・・・・・・・・命を欲しがるものしかな・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

女の子はうつむいて
そして黙り込んだ。
だが、
顔をパッとあげ、
レイズの目を見ていった。

「助けて院長せんせー・・・・・」

レイズはフッと笑い。
女の子の頭に手を置く。
そして立ち上がって言った。

「・・・・・・・・・助けてやる・・・・・・・・・・・」

女の子は顔は元気な笑顔になった。

「ほんと!?」

「・・・・・・・・・・・本当だ・・・・・・・・」

「絶対だかんね!」

「・・・・・・・・・絶対だ・・・・・・・・・・・」

女の子は椅子から飛び上がり、
そして嬉しそうに院長室のドアの方へ駆け寄った。

「・・・・・・・・・・おい・・・・・・・・・・手術は明日だからな・・・・・・・・・・安静にしてろよ・・・・・・」

「分かってるよ!でも安静にしてろよって・・・先生のが顔色悪いのにね!」

レイズはヴ・・・とこぼした。
レイズの顔色が悪いのは生まれつきだ。
だがその通りだった。
こんな女の子の患者に一言もらうとは・・・・。

窓の上ではチェスターとチェチェが大笑いしていた。
足をバタバタと壁にぶつけ、
腹を抱えて爆笑していた。

そんなチェスターはほっておき、
レイズは女の子に対して怪しく笑った。

「・・・・・・・・・・クック・・・・・言ってくれるな・・・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・・・」

「死んであげないよーっだ!」

女の子は口を広げて下を出した後、
院長室を走って出て行った。
病院内では走るなと注意したかったが、
それより早く女の子は行ってしまった。

チェスターはまだ爆笑していた。

「ハハハハハッ!女の子に言われてやんのっ!!!アハハハハハっ!」
「・・・・・・・・・・・お前は正真正銘死ねばいいのに・・・・・・・・・・・」
「ハハハハ・・・だって・・・だってなぁチェチェ!」
「ウキキキキ♪」
「アハハハハハハ!」
「・・・・・・・・・・マジで死ねばいいのに・・・・・・・・・」

最上階の一室。
チェスターとチェチェの笑い声が響き渡る。
うるさい・・・・
レイズはイライラした。

とまぁ、
そんな平穏な病室。

それをかき消す音がした。

ビー!ビー!

突然の音。
それはナースコール。
前院長のヴァレンタインの方向性で院長室にまで状況がくるようになっていたのだ。
だからまぁそう珍しい事ではない。
レイズが落ち着いてナースコールが鳴った患者のカルテを見ようとした時だった。

ビー!ビー!
 ビーー!ビー!
ビー!ビーーー!ビー!

さすがのチェスターも笑うのをやめた。

「な、なになに!?音がいっぱいジャン?!」
「・・・・・・・分からん・・・・・・そこら中の病室から一斉にナースコールが・・・・・・・」

レイズがすぐに机上の院内WIS(内線)を取る。
が、どこにかけても繋がらない。
適当にボタンを押し漁った後、
諦めて院内WIS(内線)をもとに戻した。

「・・・・・・・・どーなってるんだ・・・・・・・・」

そう言ってると、
突然ドアが開いた。

院長室のドアが開き、
フラフラと入ってきた者。
・・・・・それは1人のナースだった。
見るからに顔色が悪い。

「・・・ド・・・・Dr.レイズ・・・・院内が・・・・・・たい・・・・へ・・・・・」

そこまで言うと、
ナースはヨロリと体勢を崩し、
ドサりと倒れた。

「な、大丈夫っ!?」

チェスターが窓枠から飛び降り、
駆け寄る。
だがナースの息遣いは荒く、
気を失っているかどうかという状況。
チェスターがそのナースを起こそうとした時だった。

「・・・・触るなチェスター・・・」

レイズの珍しい怒鳴り声。
いや、怒鳴り声のようなボソリ声のような・・・
まぁレイズにしては珍しい強めの声。
チェスターは驚いて動きを止めた。

「・・・え?なになに?」
「・・・・・・・・触るな・・・・・・・」
「でもっ!この人大変ジャン!」

慌てるレイズをよそに、
レイズはそっとオペ用の手袋をし、
ナースに近寄る。

「・・・・・・・・・・・・見てみろ・・・・・・」

手袋越しにナースの顔をもちあげた。
その顔色は・・・・・
悪いなんてものじゃなかった。
青くなってるとかじゃない。

・・・・・・紫。

「・・・・・・・毒だ・・・・・・・・」
「毒っ?!」

チェスターが驚いてる合間に、
レイズはキュアポイズンを唱える。
すると、
ナースの顔色が見る見るよくなっていった。

「で、でもレイズっ!毒だからって・・・・」
「・・・・・・・・・・・・ただの毒じゃない・・・・・・・・・・・・・」
「へ?」
「・・・・・・・・詩人スペルの"第13楽章"だ・・・・・・・・・長く触ると感染する・・・・・・・・・・」
「い゙!?」

チェスターとその頭の上のチェチェは同じ顔でイヤな顔をした。

「感染するって・・・・この人に触るとうつるってこと?」
「・・・・・・・・・当然・・・といってももうスペルで治療したがな・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・だが感染中はやっかいな毒でな・・・・・・13楽章の感染者に触った者はまた感染する・・・・
 ・・・・・・解決しなければ延々と感染は拡大していく・・・・・・・・・まるでウイルスだな・・・・・・」
「ひぇ〜〜・・・・・・・怖っ!」
「・・・・・・・・・・」

ふと、
レイズは気付いた。

感染・・・

そしてこのナースの言葉・・・・。

院内全体?


レイズはスっと立ち上がり、
そしてこのナースが入ってきたドアの外に歩み出た。

そして廊下に出て見渡す。

「・・・・・ク・・・・・・すでに最悪みたいだな・・・・・」

そこには地獄絵図があった。

「たすけ・・・」
「クルシィ・・・・」

廊下に這い蹲る患者。
壁になんとかもたれ立つ患者。
皆顔が紫に変色している。

「しぬぅ・・・しぬぅ・・・」
「たすけ・・・て・・・・」

患者は毒に侵され、
何かしらに助けをすがり、
そしてまた誰かに感染していく。

苦しみが苦しみを生む。

つまり、
すでに・・・・
院内に第13楽章が感染しつくしている。

「ヒドッ!」
「ウキィ!」

それを見たチェスターは、
わなわなと体を震わしていた。
恐怖ではなく、怒り。
レイズにはチェスターが次に言い出す事は分かる。

「クソッ!患者さん達がみんな毒だらけ・・・・酷いジャンっ!!!!!
 こんな酷い事する奴は・・・・悪者だなっ!最悪な悪者ジャン!
 そんな悪者はこのスーパーヒーローチェスター君がたおす!」

チェスターは右拳を強く握って言う。

「・・・・・・・・・・・倒すならさっさと倒してくれ・・・・・・・・・・・」
「んえ?」
「・・・・・・まぁ間違いなく・・・・・GUN'Sの仕業だろう・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・主旨は分からんがな・・・・・・・・死ねばいい・・・・・・・・・」
「GUN'Sか!!!じゃぁ話は早いジャン!とっととぶん殴ってやる!」



「誰を殴るんです?」
「酷いよねー?」

「・・・・・・・・・・?」
「誰ジャンっ!?」

いつから居たのか。

院長室の前。

気付くと、
そこには二人の女が立っていた。

「ベラドンナちゃんベラドンナちゃん!こいつがDR.レイズかなっ?!」
「そうですね。間違いないと思うわスズちゃん」

長身と短身。
陰と陽の性格。
凸と凹というのが初対面の正直な感想。
そんな女が二人。

「申し送れました」

長身の女がお辞儀をした。

「わたくしはベラドンナ=ヘッケラーと申します」
「スズちゃんはスズラン=コック!スズちゃんでいいよ!」

ベラドンナ。
スズラン。
いや、そんな事よりレイズがボソりと言った。

「・・・・・・・・・・・は?・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・」

「スズちゃん」という響きに、
レイズはムカっときた。
こう・・・・レイズの一番嫌いなタイプだ。
もうむしょうにムカムカする。
ムシズが走る一人称。
そして言うならば・・・・死ねばいいのに。

ともかくベラドンナとスズランという女達。
それが院長室の前に居た。

ベラドンナと名乗ったのは詩人の女性。
長身で黒いストレートヘア。
見るからにお堅い感じ・・・・
いや清楚な印象を持つハープを持った詩人だ。

スズちゃん・・・・いや、
スズランと名乗ったのは背の低い女。
子供っぽさはチェスターといい勝負だ。
おてんばという言葉が似合う。
見たところ盗賊だろう。

「なんなんだよお前らっ!ってかお前らだけ元気ってことは・・・・・」

「突然の訪問失礼しました」

チェスターが言い終わるより先に、
ハープを持った黒髪の女、ベラドンナは礼儀正しくお辞儀した。
逆に元気よさゲな盗賊女のスズランはまったくお辞儀する気配がなかった。

チェスターはよく分からないのでとりあえず「あ、どうも・・・」とお辞儀を返した。

「なんなんだ・・・と言われますと。わたくし達は音楽を布教して回っております」
「そうそう!第13楽章をねっ!」
「スズちゃんは盗賊ですが、わたくし達はこれでも音楽布教団体なのです
 ベラドンナとスズラン。バンド名は『ポイズンガールズバン・・・・」
「ベラドンナちゃん!その名前たぶん売れそこなうからヤダ!」
「文句を言わないでくださいスズちゃん」
「スズちゃんはそんな名前イヤなの!だから『感染拡大ディープパープル』にしよって!」
「はしたないですよ。それなら『曼陀羅家』にしましょう」
「それもイヤだ!」

「・・・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・」

ベラドンナとスズランの会話を、
レイズが無理矢理断ち切った。
もう聞いてるだけでストレスになる。
そんな感情がもう黒いオーラになって見えている気がした。

「・・・・・・・・・・とにかくお前らが・・・・このウイルス(第13楽章)を撒いたんだな・・・・・・・・」
「そ、そうジャン!お前らがGUN'Sなんだなっ!」

ベラドンナとスズランは
顔を見合わせた後、答えた。

「両方当たりです。わたくしのハープが第13楽章を奏でました」
「そんでもってスズちゃんとベラドンナちゃんは六銃士の再装填メンバーだよっ!」

「・・・・・・なら言える事は一つ・・・・・早くこのウイルスを解け・・・・一刻も早くだ・・・・」

ベラドンナは、
清楚に、それでいておしとやかに。
ニコリと微笑んで答えた。

「無理ですよ。第13楽章は奏でたが最後。奏者の手を離れて延々と感染します
 奏者じゃなく聴者が主役。音楽って素晴らしいですよね。これでこそ音楽です」
「スズちゃんもそう思うー!」
「奏者のもとを離れて人から人へ。国境人種。いかなる垣根を超えて届く。
 あぁ音楽とはなんて素晴らしいのでしょう。名曲"第13楽章"ももといです。
 わたくしの奏でた音楽は・・・人から人へ・・・顔も知らないあなたのもとへ・・・・
 あぁ・・・・どこまでも届け・・・。人を伝わり・・・・君にも届けこの思い(音楽)・・・・・・」

ベラドンナは、
ハープを胸に抱き、
目をつぶって両手で抱きしめた。
その姿はまるで聖歌の女神。
やっている事は死神だが・・・・

レイズはクックと笑う。
そして言い切る。

「・・・・・・自分で解除できないか・・・・・ならお前らに用はない・・・・・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・」










                 






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