時計の音が聞こえる。
この店がこれほどまでに静かだった事があっただろうか。
だからこの店の時計が針の音を刻む事を初めて知った。


店内は一時間前に戻ったかのようだった。
円卓(テーブル)に着き、
全員の前にコーヒーが用意されている。
一時間前と同じ。
・・・・・・・・・・。
エクスポがいない事を除いては。



「これからどうするんだよ」

隣のテーブルの上に寝ころんだまま、
チェスターが聞く。
頭の上のチェチェを撫でながら、
わざと興味なさげにしていた。

「どうするって・・・・・・」

マリナが戸惑ったように返すが・・・

「どうしよう・・・・・」

うまく返せなかった。
みんなこれからどうするかより、
先ほどまでの反省会のような雰囲気が漂っていた。
あの時どうしていれば、
何をすれば、
どうにかすることができなかったのか。
悔しさで各々が言葉を発していなかった。

「・・・・・・・・オブジェを持ってくしか・・・・・・・ないんじゃないか・・・・・・・・・」

レイズが言う。
ぐずぐずしていてもしょうがないと考えたのだろう。
それにロッキーがピョンっと跳ねるようにし、
賛同の意見を言った。

「そうだよ〜〜〜!そうしないとエクスポが大変かもしれないんだよ〜〜〜!!」
「・・・・・・しゃぁーねぇわな」
「もとより・・・・・拙者らはそうするしかないないだろう。もう詰まれているのだ。
 戦力的にも、状況的にもな・・・・・・・・・。歯がゆいが仕方がなかろう」

ドジャーがゴンッと拳をテーブルに打ち付ける。
形相が凄い。
何かを訴えようとした。
が、言葉にならない。
心境は、誰もが察した。

また時計の音が聞こえる。
静かな店内。
メッツのタバコが焼ける音さえ聞こえる。

「あの・・・・・・・」

アレックスが小さく言葉を発した。

「一つの意見・・・・・・としてでいいんですが、聞いてください」

誰も返事はしなかった。
だが、誰もがアレックスの話を聞く意思はある。
アレックスはそれを察し、話始めた。

「作戦は・・・・・・当初のままでも支障ないかもしれません」

ガゴンと椅子が弾き飛ばされる音がする。
ドジャーが立ち上がったのだ。
そしてその手は・・・・
アレックスの胸倉を掴んでいた。

「おめ・・・・エクスポを見捨てるってのか?!」
「いえ・・・・・・・・物凄くポジティブな意見なんですが・・・・・ちょっと思う所があって・・・・・・」
「だからってテメェ!今はもう対GUN'Sの作戦とかそんなんはもう・・・・・・・」

「ドジャー。お主の悪いクセだ。まず話を聞いてやれ」

イスカがドジャーに言う。
ドジャーは「チッ」と言ってアレックスから手を離し、
椅子に腰掛けなおす。
アレックスも椅子に腰掛けなおし、
全員に向かって話し始めた。

「ジャスティンさんは、エクスポさんの命の保障はすると言っていました」

「・・・・・ふん」
「そんな言葉信じるのか?」
「・・・・・・・・・敵の言う事だぞ・・・・・・・」
「大体おめぇはジャスティンの言葉を信じようにもよぉ、
 ジャスティンの事なんてなんも知らねぇじゃねぇか!」

「信じるのとは違います。ただの推理から出した結論です。いいですか?
 ジャスティンさんは"どんな事態になろうとも"という所をやけに強調してました。
 これはある意味挑発です。かかってこいという・・・・・・・・・。
 いや、彼の言葉の通り、"俺を止めに来てくれ"という考えじゃないでしょうか」

「だからってやっぱりエクスポが危険な事に代わりないジャン?」
「そうよ。もしジャスティンが本気でそう言ったとしても、
 実際どうなるかわかったもんじゃないわ」
「GUN'Sは〜〜〜ジャスティンだけじゃないんだよ〜〜〜?」

「GUN'S内部の状況はジャスティンさんがどうにでもするでしょう
 ドジャーさん達と真正面から戦いたいがためにね」

「なんで言い切れる」

ドジャーの問い。
それにアレックスは一瞬声をつぐんだが、
話し始める。

「矛盾があるんです」

「矛盾?」

「彼らはオブジェが欲しい。が、こちらがオブジェを隠してるだろう事を察し、
 エクスポさんを捕虜として連れて行き、一週間後に交換しろという条件を出してきました。
 が、この時点ですでに矛盾なんです」

「どこか矛盾なの〜〜?」
「わけわかんね」
「うむ。むしろ向こう的には妥当な作戦だと思うが・・・・・・・」

「とんでもないです。だって多分・・・・・・・・隠し場所はバレてるんですから」

「へ?」

全員が頭の上に「?」を宿す。
が、ドジャーとメッツが同時に「あっ」と気付く。

「そうです。前にドジャーさん言ってましたよね?
 ミダンダスさんの隠れ家は昔ドジャーさんメッツさんジャスティンさんの三人で見つけたと
 つまりジャスティンさんはこっちがあそこに隠すだろう予想ぐらいはつくはずなんです
 なんたってミダンダスさんとこは仲良し3人組しか知らない最高の隠し場所なんですからね」

「・・・・・・・なるほどな・・・・・・・・・」
「だが、わざわざここに取引きをしにきた」
「つまりジャスティンは・・・・ミダンダスのところへは行ってない」
「私達と戦う機会を作ったってわけ?」

アレックスは黙って頷いた。
そして話を続ける。

「あと、GUN'Sを攻め入るべき理由はもう一つあります。
 当初の通りGUN'Sを攻めるべき理由がね」

「・・・・・・?」
「何?まだ矛盾があるのか?」

「はい。それは"一週間"という猶予です。長すぎだと思いませんか?」

「・・・・・・たしかに・・・」
「まるで戦闘準備をしてくれと言わんばかりだな」

「逆です」

「ん?」
「何が?」

「向こうの準備期間が欲しいんでしょう」

「準備期間〜〜〜?」
「なんのだよっ!向こうは準備もクソもないジャン?」

「世界統一の準備ですよ。オブジェが手に入る=世界を統一できるという事です。
 が・・・・・・僕達が六銃士を三人・・・・つまり上層部の半分を倒してしまった。
 ただでも合併吸収を繰り返してデカくなったツギハギの巨大組織。
 その組織力がオフィサーの半分を失っている。こんな状況じゃ世界統一もままなりません」

「つまり・・・・・」
「オブジェを取得する前に組織の建て直し」
「もしかして新しい六銃士を立てるって事!?」

アレックスは頷く。
イスカも頷いて話し始める。

「なるほど。六銃士のタカヤと戦った時にあやつがチラリと言っておった。
 六銃士の死亡、及びGMドラグノフの推薦で六銃士が補充されると」
「一週間後にその会議かなんかがあるってこったな」
「・・・・・・・・・ジャスティンも・・・・・・・言ってたな・・・・・・・・・・」
「え?なんて?」
「・・・・・・・・・・・この一週間は・・・・・・・装填(リロード)タイム・・・・・・・だと・・・・・・・・・」
「こりゃ決まりだな。間違いねぇ。"装填"って響き。間違いなく六銃士の補充だ」
「向こうも体制が整ってない!」
「今がむしろチャンスって事ね」
「決まりだ!!!」

ドジャーが両手をバシッとテーブルに叩きつける。

「一週間以内にGUN'Sを攻めるぞ!予定通りな!
 カッ!よく考えたら俺達が他人の思い通り動くってのがおかしい話なんだ!」
「エクスポに関しては?」
「世知辛ぇが・・・・・敵であるジャスティンを信じる」
「向こうとしても捕虜は命綱だ。簡単には殺せんだろう」
「よっしゃ!もっと具体的に決めるか!」

ドジャーは生き生きとしていた。
それを見てアレックスはホッとした。
もとのドジャーに戻ってよかったと。
グズグズしているドジャーなど好きではない。
それにみんなも・・・
さっきまでのネガな雰囲気が消えている。
いつもどおりのポジティブなMDの雰囲気が戻ってきてる。

「で、どうする。ボヤボヤはしてはおれんぞ。
 準備が出来てないというのは裏を返せば今準備を整えているということだ」
「でも〜〜どう攻めるの〜〜」
「GUN'Sの本拠地はミルレスだって事までは聞いたことあるけど・・・・」
「なんか秘密の場所みたいで場所わかねぇジャン?」
「おい!誰かなんかGUN'Sについておいしい情報はねぇのか!」

ドジャーが全員を見渡す。
だが誰もが首を振る。

「クソ・・・」
「手がかりならミダンダスさんが少しくれましたよね?」
「んあ?アスとかミッドとかがどうとか・・・あと繋がっているとかか?」
「はぁ〜?なんじゃそりゃ!全然手がかりにならねぇぞ!」
「あの。僕的の推理を聞いてくれますか?」

全員が頷いた。
アレックスは話し始める。

「もしかして・・・・・・・・・・ピルゲンさんが関係しているんじゃないでしょうか?」
「ほぉ、なるほど」
「ピルゲンの野郎アンジェロやモリスの件についてそういった話してたな」
「ピルゲンさんはアスガルドのゲートがどうとかも言ってました」
「キーワードは"ミッドとアス"そして"繋がっている"」
「ピルゲンが絡んでやがるって事だったのかクソ!」
「繋がってるっていうのは・・・・ミッドガルドからアスガルドのゲートの事かしら?」
「それっぽい気もするな。わかんねぇけど」
「なーんか〜〜〜話が大きくなるね〜〜〜〜」
「僕もそこまで話は飛ばないと思うんですけど・・・・・・・」
「・・・・・・・・まぁ・・・・・・・・・予想の域を出ないな・・・・・・・」

レイズがテーブルを軽くトントンッと叩いた。
そして話す。

「・・・・・・・・それらの予想も面白いが・・・・・・・・・もっと確実な話をしよう・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・短直に言うところの・・・・・・・・・・・」

「戦力か」

数人が同時にため息をつく。
そして無言になる。

その数は"万"にものぼると言われる《GUN'S Revolver》。
こちらはたった9人・・・・・・いや、8人。
どう計算しても勝ち目がない。

「だ、大丈夫だよ!オイラがいるジャン!
 オイラヒーローだぜっ!?オイラがいれば百人力!!!!」
「百人分じゃ足らんのだ」
「ゔ・・・・・・・・・」
「ガハハ!じゃぁこの俺が一騎当千の力を・・・・・・」
「千人分でも足らん」
「・・・・・・」

考えれば考えるほど絶望的になってくる。
8人という数字。
この数字がはじき出す答えは絶望だけ。
ゾウを見上げるアリの気分だった。

「まぁ真正面からやるわけじゃないのだろう?」
「そりゃそうだ」
「GUN'Sは合併吸収を繰り返してでかくなったギルドです。
 統率はとれてませんから一週間やそこらで全メンバーは集まらないでしょう」
「8人相手に万も集めることはないだろうしな」
「・・・・・・だが・・・・・・・・・不意をついたとしても・・・・・・・」
「数百・・・・・・・いや、最悪千・二千は固いわね」
「50+六銃士でも歯が立たなかったわけだしね」

「足らないなら〜〜〜増やせばいいんじゃないの〜〜〜?」

ロッキーの問い。
気持ちは分かる。
メンバーの補充。
が、それでどれだけ足しになるのか。
そして即急に入れたメンバーなんて信じられるのか。
そう考えると・・・・・・

「傭兵・・・・・・か」
「というより味方になってくれる傭兵ギルドが欲しいな」
「俺達は頭をつぶしに行くとして、時間を稼いでくれる団体だな」
「チェスターそういうの詳しいだろ?」
「ん〜。ギルド単位の傭兵だとかなり値が張るぜ?」
「・・・・・・・・・だろうな・・・・・・・・・」
「GUN'Sと聞いてなおこちらについてくれる怖い者知らずじゃないとダメだし」
「そんな奴らいるの?負けるだろうと分かってる戦場に来るアホ軍団」
「いないでしょうね・・・・・・・・」
「とりあえずお前ら金どれくらい持ってんだ?」
「そうですねその額によって作戦も決めれます」
「とりあえず俺とメッツの貯金は1000万グロッドほどはある」

結構溜め込んでたんだな・・・・・・
じゃぁもうちょっと僕に贅沢させてくれていいのに・・・・・・

「まずアレックス。どれくらい持ってる?」

そう言われ、
アレックスは財布を取り出し、
逆さまにする。
財布の中からグロッド銅貨が2枚テーブルの上に落ちた。

「・・・・・・・・」
「・・・・・ガムでも買ってこい。・・・・・・・・・次、ロッキー」
「ぼくはお金なんて持ってないよ〜〜〜。グロッドとかよくわからないし〜〜」
「・・・・・・・だろうな。イスカは?」
「拙者は必要な分しか持ち歩かん。金など溜めぬ」
「レイズ」
「・・・・・・・・・・3000万ほど・・・・・・・・・・・・」
「お!」
「さすが若き医者!」
「儲かってるねぇー!」
「・・・・・・・ふん・・・・・・・・・・・・・」
「マリナは?」
「私は溜まるほど儲からないわ」
「はぁ・・・・・・・・」
「ギルド単位で傭兵を雇うには心もとない額ですね・・」
「あ、チェスターは?」
「オイラは19億くらい」
「あっそ・・・・・・・・」

全員がまた一斉にため息をつく。
そして空気がまた止まった。
と思った次の瞬間。

「「「「19億!!!!???」」」」

全員が体を乗り出した。
チェスターはビクッとする。
頭の上のチェチェは驚いて飛び上がった。

「そ・・・・そうだけど・・・・・・」

「おめ!そんな儲かってたのか!」
「・・・・・・・・・傭兵は実力社会だしな・・・・・・・・・・・・」
「まぁチェスターさんの攻城戦の功績は凄いですしね・・・・・・・
 開始と同時に外門を壊される事を考えると騎士団側としても痛いです。
 1億や2億払ってでもお引取り願いたい相手でしたしね・・・・・・・・でもそれでも・・・・・・」
「儲けすぎだろ・・・・・・・」

「別にオイラ使い道ないし使ってもいいけど・・・・・」

全員が目を合わせる。
そして

「よし別荘を買おう!」
「いや!無人島買おうぜ!」
「店を改築しましょ!」
「それより一億グロッド分のプリンを!!!」

「・・・・・・頭を冷やせ・・・・・・・・・まったく馬鹿ばっかだ・・・・・・・・・・・・」

レイズの言葉で全員がハッと我に帰った。

「・・・・・・・・19億グロッド・・・・・・・・・・・・・・・・・個人としては多いが・・・・・・
 ・・・・・・・・・19億で世界が買えると思ってるのか・・・・・・・・・・・・全然足らない・・・・・・・・・・・・・」
「そりゃそうか・・・・・・・・」
「ってか最初から金に釣られるやつらなんて信用できるかってんだ」
「じゃぁどうするんだよ?」
「身内でなんかいねぇのか?」
「助けてくれそうな戦力・・・・・・・・・・・」

全員は少し考えた後。
一斉に一人を見た。

「・・・・?え〜?ぼく?」
「ロッキー君。カプリコ三騎士に助力を頼めませんか?」
「ん〜・・・パパ達に話はしてみるけど〜〜・・・・・・・
 パパ達できるだけカプリコ砦のみんなに迷惑かけたくないだろうしね〜〜・・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・・・」
「金・人脈を揃えても戦力は集まらんもんだな・・・・・・・」
「というかGUN'Sが世界最強なのよ?
 どうやったってそれ以上の戦力が見つかるはずないじゃないの」
「それもそうだ・・・・・・・・・・・」

ため息が流れ込む。
やはり・・・・・・どうしようもないのか・・・・・・・・・

実際GUN'Sと戦うとする。
まぁこちらはたった8人。
GUN'Sも全勢力を出してくる事はないだろう。
不意をつくつもりでもあるから、
もしかしたら相手は1000以下ほどかもしれない。
それでも・・・・
8人でどうかなる数ではない。
実際先ほど、
六銃士3人+本隊50人相手になすすべもなかったのだから。

「ひとつ・・・・・・・・・・心当たりがあります・・・・・・・」

「は?」
「心当たり?」
「GUN'Sに対抗できる勢力?」
「・・・・・・・・・・かつ味方してくれる勢力・・・・・・・・・・・・」
「あるわけないジャン?」

「あります。もちろんGUN'Sに勝てるほど実力はどうかと思いますけど、
 僕達が向こうの頭を取りに行く間、対抗してられる勢力・・・・という意味で」

「カッ!もったいぶんな。言ってみろよ」

「世界統一を目指す世界最強ギルドに当てるなら・・・・・・・
 その質に対抗できるのは一つ・・・・・・・・・・・・・元世界最強・・・・・・・・・」

「・・・・・・王国騎士団?」
「アレックス。お前が言うとあまりに笑えねぇブラックジョークだぜ」

「冗談ではないですよ。僕やピルゲンさんの他に生き残ってる騎士団員がいます。
 それは誰の耳にも入ってます。有名でしょ?最近は新聞の的ですからね・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・44(ヨンヨン)部隊・・・・・・」
「世界最強・・・・『矛盾のスサノウ』」
「ロウマ=ハート率いる竜騎士部隊か・・・・・・・・・・」
「終焉戦争で唯一全滅させる事ができなかった部隊ね」

「はい」

「あれってなんで生き残ってんだ?」

「単純に攻めギルド倒せなかったからです。攻めギルドを倒すのを諦めたんです
 まぁ攻城戦の目的は騎士団の全滅じゃなくてオブジェの奪取ですしね」

「攻城戦で生き残れるほどの戦力か」
「ありがたいもんだなそりゃ」
「ガハハ!なにが世界最強だ。公で言われてるだけだろ?」
「で、協力してくれるのか?その最強部隊がよ」

「信用できるかどうかは別として、協力はしてくれる・・・・・・・気がします」

「気がするだぁ?」

「ロウマさんは最近あの攻城戦に出たギルドを潰してまわってます。
 新聞その記事ばっかですよね。もう終焉戦争に出た15ギルドのうち9ギルドが壊滅
 単純に復讐してまわってるんですよ。それなら・・・GUN'Sも標的にするのは道理です」

「結構イケルんじゃねぇのそれ?」
「うん。ベリグッ!だいぶいけそうジャン?振り切ったら飛べそうジャン?」
「・・・・・・・」
「まぁともかく協力してもらいましょ」
「だが・・・・・・・最初から提案しなかったのは何故だ」

アレックスは上目遣いに答える

「ん〜・・・・今更どのツラ下げて同士に会えばいい・・・・・・・とかそんなじゃないんです。
 単純に危険なんです。本当かどうかは別として、一応世界最強って呼ばれてますから
 爆発しないと分かっていても核爆弾に触りにいけますか?そういうことです」

「やっぱ危ないやつなのか」
「・・・・・・・・・・・クク・・・・交渉に行ったら・・・・・
 ・・・・・・・・・返り討ちにされてゲームオーバー・・・・・・・・笑える話だな・・・・・・・・・」
「笑えねぇよ・・・・」
「でも協力してくれそうジャン!」
「そ、そうよ。状況的には敵になる感じじゃないわ!」

「・・・・・・・・・といいですね」

「交渉してみる他あるまい。どのみち他に手はない」
「連絡はとれるのか?」

「はい。WISオーブのリストにまだ連絡先が残ってます」

チェスターがテーブルの上に立ち上がる。

「よっしゃ!オイラ交渉行きたい!」

「駄目です」

チェスターずるっと転ぶ。

「なんでだよっ!オイラ世界最強に会いたいぜっ!
 攻城戦で何回か見たことあるから顔は知ってるんだぜっ!?」

「だからです。他の誰が行こうともチェスターさんだけは駄目です。
 チェスターさんは終焉戦争出てるんですよ?見た瞬間殺されます」

「・・・・・・・・・・・」

ドジャーが立ち上がる。
そして大きな声で言う。

「よし、方針は決まりだ!ってか俺が今決めた!」

「うっせ!聞け!まずこの一週間。俺らの本拠地でもある”Queen B"は危険だ。
 だが、何かしらGUN'Sから何か連絡くるかもしねぇからマリナは酒場にいろ。護衛はイスカ」

「はいはーい」
「本望・・・・じゃなくて承知」

「ついでに店に情報屋『ウォーキートォーキーマン』が来たら、なんか情報買っとけ。
 本拠地の場所でもなんでもいいから手当たりな。金はチェスターの財布から出す」

まるで自分の財布みたいな言い分だな・・・・

「チェスターはミルレス白十字病院で本名と職業バレてるレイズの守護に当たれ。
 ついでにミルレスでGUN'Sの情報でも収集しててくるとありがてぇ。
 でもミルレスはあいつらの本拠地だ。あんまり目立つなよ?」

「・・・・・・・・まぁそういう事は・・・・・・・・俺がやっとこう・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・チェスターに目立つなって言うほうがおかしい・・・・・・・・・・・・・・」
「なんだよレイズ!」

「ロッキー。お前は砦にもどって一応三騎士に助力頼んでみてくれ」

「は〜〜〜〜い」

「んで俺とアレックスとメッツはロウマと交渉だ。一番危険だしな。
 連絡は早いうちに入れる。以上だ。異論は?」

全員笑顔で返した。

「よっし。解散」
「・・・・・・・・ギルドごと解散にならないことを・・・・・祈るよ・・・・・・クク・・・・・・・・・・・・・」
「え、縁起でもねぇ・・・・」
「信じて進むほかない。それに・・・・・」

イスカが窓から、
いや、スミスが開けた壁の亀裂から外を見る。

「今夜はいい塩梅の月だ。まるで拙者らの先を照らしてるようではないか」

いつの間にか外は闇に覆われていた。
早くも一日が過ぎようとしていたのだ。

夜空は暗い、
暗雲が立ち込める。
まるでGUN'Sの勢力のよう。

夜空に光る、9つの星。
それを不安の暗雲が包み込もうとしているが、

月がなんとかそれを食い止めてくれてるように思えた。


月があるからこそなんとか輝いている9つの星。

だが事態は闇夜。





星がひとつでも欠けないことを・・・・ただ祈るだけだった。













                 






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送