ここはルアスの森の中。

この穏やかな森。

突然ですが
そこには数百のディドの行列。
いや、大群、大行進。
それが地響きと砂ぼこりを巻き上げていた。

先頭はディドで最後尾もディド
途中もディドで
ディドディドディド
数百匹のディド軍団は走りますってね。

そのディド軍団の目的というと・・・・
まぁ
そんなディドの軍団の先頭には
2人の男女がいるわけだった。

「のっわぁあああああ!!!!どうすんだよアンリ!?」
「私に聞かないでよぉおおおお!!!」

必死だった。

もう二人はディド達に追いかけられる事半日である。

彼らはルアスに本部を構える清掃業者《モスディドバスターズ》の社員である。
依頼者から要望があると駆けつけ、
徹底的に駆除!
モスディドバスターズの通った後には快適を保障します

・・・・・のはずなのだが。

なぜか今はその逆。
モスディドバスターズの通った後をディドが大行進しているというこの状況。

「やっぱ俺らには無理なんだよアンリィ!!!」
「私に言ってもしょうがないでしょ?!」

とにかく2人は必死に逃げていた。

男の名前はナッグ。『ぎざっ刃』のナッグと呼ばれる戦士である。
女の名前はアンリ。『アーリークロス』と呼ばれる聖職者だ。

二人とも実力は・・・・
凄くはない。
というのも二人は《モスディドバスターズ》という看板を自慢げに使うが、
実は新入社員なのだ。

元は5人の正社員がいた《モスディドバスターズ》
そこに後から加わっただけなのだ。
7人しかいない会社の6人目と7人目の社員。
簡単に言うところの下っ端である。

凄腕の正社員5人は2人の下っ端に仕事を押し付けて休養中らしい。

もちろん下っ端のナッグとアンリだけにこの仕事は・・・・・

「やっぱ荷が重いんじゃねぇのかアンリィイイ!!!」
「私に言うヒマがあったら走ってよ!!!!」

ある理由で折れてしまった刃こぼれソードの戦士と
範囲魔法が使えないためペア狩りしかできない聖職者は
力の限り走った。

ヘタレx2は走りに走る。

ディドに殺されるわけにはいかない。
一応こちらは駆除する方なのだ
駆除されたらたまらない。
だが、

「疲れたぜ・・アンリィ・・・・走れねぇよ・・・」
「男が弱音吐かないでよ!」
「なっ、!てめぇが俺にもヒールかけてくんねぇからだろアンリ?!」
「私が単体にしか回復できないの知ってるでしょ!?」
「じゃぁ俺にかけろよアンリ!」
「こんな話を聞いたことあるわ。
 海でおぼれた時。自分は木の板につかまってなんとか助かった。
 でももう一人つかまると木の板は沈んでしまうから後から来た者を見殺しにしても・・・」
「お前の場合はただ自分の生存率あげてるだけだろがアンリィイイ!!!」

とにかく走る。
止まるとディドの行列に飲み込まれる。
だが・・・・

「もう・・・・ダ・・メ・・・・だアンリぃ・・・・」

もうナッグは限界だった。

足がフラつく。
視界が揺らめく。
そして疲れに意志が負けそうになる。

そしてナッグがとうとう足を止めそうになった時だった。


突然一人の男が横から飛び出してきた。

真っ青な格好をした男だった。

「HEYHEY!!スタァップ!スタァァァァァップ!!!」

その青色の服の男は青色のムチを取り出し、
そのムチでおもいっきり地面に叩いた。
ビシィィン!とするどい音が響く。

と同時にディドの行進が砂煙と共に止まった。
あの数百のディドがである。

そんな様子を見て感心する前に
ナッグとアンリはその場にヘタリこんだ。
汗がダラダラである。

「ゼィ・・・ゼィ・・ゼィ・・・・・」
「ハァ・・・・・ハ、ハァ・・・・助かったわ・・・・・・・」

とにかく二人は全身の力が抜けた。

そんな二人に青色の男は近づく。

「HEY、ユー? 質問OK?」

変な言葉使いをする盗賊だった。
というか全身が青い時点でおかしいといえばおかしい。
いい趣味してると思う。

だがおかしいとも言っていられなかった。
この男は命の恩人なのだ。

あのディド達をムチ一発で止めてしまった。
モンスター使いというものなのか。
身なりは盗賊のようだが、かなり特異な能力の使い手である。

「し、質問?」

「OH,ィエス!ベリーイージーな質問だ。ナイトを見てないかイ?
 どんなでもOK。BUT、キングダム関係だと嬉しいがナ」

「キングダム?って王国騎士って事かアンリ?」
「そう見たいね。王国騎士なんて全滅したんだからいるわけないじゃない」
「あ、でも騎士は会ったよなさっき。なぁアンリ」
「そういえばそうね」

「リアリィ?!!!詳しく教えてくレ!」

「詳しくっつったってなぁアンリ」
「えぇ、私達もちょっと会っただけだしねぇ」
「でも名前はなんだっけな。あ、アレックスだっけかアンリ」
「そうだったわね」

「ALEX?nhh、調べてみる必要があるナ」

「多分ルアス99番街のやつだよな?アンリ」
「えぇ、『人見知り知らず』と一緒に行動してたものね。
 ぁあ・・・思い出しただけでも胸糞悪くなるわね・・・・」

「ルアス99(ナイナイ)?『人見知り知らず』?
 OH!イッツナイスな情報ダ!感謝すルゼ、レディサジェノメン!」

「ま、助けてもらったお礼ってとこだなアンリ」
「人見知り知らずとかに取られたお助け料と比べりゃまさにお安い御用ね」

「ハッハー!OK!じゃぁ・・・・」

青色の盗賊はムチを振り上げ、
そして先ほどのようにムチを地面に叩きつけた。
パシィンと耳鳴りがするような鞭打ち音が響く。

「ユー達はここで用なしダ」

「「へ?」」


同時に
聞きなれた音が再開する。
それは地響きの音。
ディドのだ。
おとなしく止まっていたディド達がまた動き出したのだ。

「シーユー♪」

そう言い残し。
全身青色の男はとっととその場から姿を消してしまった。
逃げ足は速かった。
もうかけらも気配がない。

そして残ったのは、
数百のディド・・・・。

「ちょちょちょちょちょ!どういうことだアンリ?!」
「私に聞かないでよ!」

といいつつ二人は逃げようとした。
当然だ。
とりあえず逃げるしかない。

が、それも適わぬ夢だった。
退路は埋まっていた。
ディドで。

後ろを見てもディド。
横を見てもディド。
前を見てもディド。

ディドに囲まれていた。
完全に包囲されていた。
《モスディドバスターズ》、逆にディドにつかまる。
そんな感じであった。

「くっそ・・・・なんで俺達はこうも悪い奴に出会うんだアンリ!?」
「私が聞きたいわ!」

ナッグは欠けている上に折れたソードを構える。
アンリはおよそ攻撃力のないステッキを構える。

「ディドで殉職・・・・は勘弁だぜアンリ・・・・・」
「同感よ・・・・。まだ今月の給料もらってないんだから・・・・」

二人の前に一匹のディドが前へ出た。
それは黒いディド。
一回り大きなディド。

ディドキャプテンだった。

「ちょ!ディドキャプテンってさっき『人見知り知らず』達が倒さなかったかアンリ?!」
「わ、私に聞かないで・・・・でも目の前にいるのはたしかよ」
「あの騎士の兄ちゃん達が倒したのは本当の"頭"じゃなかったってことかアンリ?」
「・・・・あのディドキャプテンは少し異質だったわ。そういうことかも・・・・。
 と、とにかく目の前に"頭"がいる。これは事実よ・・・・」

どうにもならなかった。
むしろ追い討ち。

こちらは未熟な戦士と聖職者。
ランクは"いち会社"の下っ端。
その上使い物にならない武器をもった戦士と
回復もまともにできない聖職者。

相手は数百匹のディド。
こう囲まれてみると爽快なほどにキモい。
ある意味この世で最悪な地獄絵図だ。
+ディドキャプテン。
普通のディドでさえキモいのに
ディドキャプテンはその上デカくて黒いのだ。
いや、黒いというよりむしろグロい。

そんなディド達に囲まれた幸せ者二人。

とにかくなんにしろ絶体絶命ってやつだった。

「もうダメみたいだなアンリ・・・・・」
「有給使っとけばよかったわ・・・・」

二人が諦めかけた。


その時だった。


「頭を最初に叩けと教えただろう」

どこからか声が聞こえる。
そしてその次の瞬間。
黒く大きなディドキャプテンが突如真っ二つになった。

ディドキャプテンは半分に切ったジャガイモのように
コロンと地面に転がった。

斬ったのは何か。

二人には分かっていた。
見覚えのある大掛かりな大剣。
そして目の前のこの頼りがいのある背中を持つ男。
二人は声を合わせていった。

「「ル、ルースターさん!!!」」

「社長と呼べと言っているだろう」

社長は大きな剣を担ぎ上げ、ナッグとアンリに背中を見せたまま言った。

彼は《モスディドバスターズ》の社長、通称『MR.ビッグ』ルースター。
仕事に生きる男でバスターズの大黒柱。
そのあだ名は 偉大さと彼の持つ大剣からつけられたものだった。
同じ戦士でもナッグとはなにもかもが天と地ほどの差がある。
彼の持つ大剣の前にこなせない仕事はない。
二人にとって本当にビッグな(大きな)存在であった。

「ル、ルースター社長・・・・」

ナッグとアンリが近寄ろうとした。
が、疲れで足がよろめく。

そんなときだった。
突如ナッグとアンリに力がみなぎる。
体の疲れが取れていくのだ。

「まったく。役に立たない子たちね」

「シ、シズさんまで?!どうしてここに?!!」

ナッグとアンリに回復を与えたのはシズ。
世間では『静寂の瞬き』と呼ばれている。
いつも冷静沈着。そして判断力に長けた理想的な聖職者であった。
アンリが見習うべき聖職者の鏡である。
冷静な反面、むしろ冷酷というかクールな一面が多い。
そしてシズのキツイ口調はいつも二人をビクビクさせる。

「あんた達じゃどうせ無理だろうってね。帰ってきたのよ。まったく、世話のかかる」
「え?って事はルースター社長とシズさんだけじゃなくて・・・・」
「そうよ。5人全員帰ってきたわ。ほら」

シズが指を指した方をナッグとアンリが振り向く。

そこには残り3人の憧れの上司達がいた。



「レオ!もっとこっちに誘導するんじゃ!そうしないとワシらが迷惑するじゃろ?」
「わぁってるってのチャン老師!おぅら!逃げろやディド共!」

レオと呼ばれた修道士がディドを蹴飛ばしながら追っていた。
先ほどまではナッグとアンリを追っていたディド達が
今度は逃げる逃げる。
ディドキャプテンがやられたから統率力を失ったのか。
いや、ただレオとの力の差を感じるからだろう。

このレオという名の修道士は、通称『眠れる牙』と呼ばれている。
普段は何に関してもダルそうにしている。
簡単に言えば楽観的かつのんびり屋であるが、
ご覧の通り戦線では人が変わったように元気になり、トタンに活躍する。
やるときはやる男というところか。


「レオ!あなたはいつも仕事が粗いわ!」
「うるせぇシズ!俺の好きにやんぜ!」
「ばかもんが!お前さんがしっかりせんから新入社員が育たんのじゃ!」

ナッグとアンリは肩を狭める。
使い物にならなくてごめんなさいと言いたげだった。

ナッグとアンリをしかったこの爺さん。
彼はチャン『老師』と呼ばれているベテラン魔術師。
この道60年の頼れる大ベテランだ。
対多数戦の多いこの仕事上では範囲魔法の使える魔術師は重要である。
魔術師は何より経験が実力に比例する。
チャン老師はかなりの実力者といっても過言ではない。
・・・・が、案外抜けたところもあったりする。



「まぁまぁ、ケンカしないでください。ここまで誘導できれば許容範囲ですよ
 みなさん下がってください!」

「ミスんなよオープ!」

オープと呼ばれた盗賊少年は『メカハンド』のオープと呼ばれている。
自慢げにつけたメカバンドと彼の特性があだ名の由来だ。
年はナッグとアンリより下だがもちろん先輩である。
《モスディドバスターズ》最年少でありながら、
社長ルースターを除くと一番しっかり者である。
よくケンカをするみんなの仲裁係でもある。
盗賊技術を応用した秀才型少年であり、どたんばでは頼りの的だ。
アイテムを利用した戦闘が得意で、
たった今ちょうどその時だ。

「いっきますよぉ!」

オープが不思議な機械のトリガーを引いた。
その機械から発射されたのは巨大な網。
スパイダーウェブを参考に開発されたモンスター捕獲網。スパイダーネットだった。

スパイダーネットは広がりながら飛び、
そして見事ディド達に絡みついた。

「今ので50匹ってとこかの?」
「やーれやれ。まだまだいんぜ?」
「あんた達はやく仕事しなさいよ」
「んだとシズ!テメェさぼりやがって!」
「サボってないわ。あくまで補佐よ」
「ま、まぁ二人とも落ち着いてくださいよー」

「お前たち。 おしゃべりは仕事が終わってからにしろ」

社長のルースターがそう一言言うだけで
シズ・レオ・チャン・オープの4人は黙り、仕事に戻る。
それだけルースターが全員にとって誇れるリーダーである証拠であった。

「ナッグ。アンリ。お前らはよく見学をしておけ」

「そ、そんな!社長!俺達だってやれば・・・・なぁアンリ?」
「えぇ!私達も先輩方の力になりたいわ!」

「足手まといだと言っているんだ。俺のいう事がきけないのか?」

「「・・・・・」」

「お前らはまだ日が浅い。まずは仕事を覚えるのが仕事だ。
 先輩達の仕事をよく見て覚えろ」

「・・・・・・はい」」

ナッグとアンリは落ち込んだ。
が、上司命令ではしょうがない。
しょうがなくナッグとアンリは戦線の方を見た。

するとそこにはすでに3袋ほどのスパイダーネットの塊ができていた。

「レオ、補助(ホンアモリ)かけてあげてるんだからちゃんと仕事してよ」
「うっせーなシズ!やってるっつーの!オラ!吹っ飛べディド野郎!」

レオのパンチで一匹のディドがロケットのごとく吹っ飛んだ。
その強烈なパンチを見て他のディド達が恐怖で進路をかえる。

「オープ!今だ!スパイダーネットだ!」
「もう弾切れですー」
「なんだって?!」
「あんな大きなサイズのネットをそんなに持ち運べるわけないですよ!」
「ったく!チャン老師!出番だ!」
「ほ?わし?」

チャン老師は数十匹のディドの塊をメガスプレッドサンドでフッ飛ばしながら返事をした。

「レオさんが誘導したあのディドの固まりに範囲魔法お願いしますー!」
「ほほ、ワシの出番じゃな?」
「そう言ってんだろが!」

チャン老師がなにやら呪文を唱えだす。
するとチャン老師の持つ杖に魔力が集中するのがわかった。
そしてその杖をディドの固まりに向けて突き出した。

「メガスプレッドサンドじゃ!」

という声と同時に、
杖はポスンという音をあげた。

「ありゃ?魔力(MP)切れじゃ」
「・・・・・役に立たない爺さんだわ」
「なんじゃと?!シズ!おまいさんが・・・・」
「チャン老師!マナリクシャです!」

オープが青い液体の入った小瓶を投げる。
それをチャン老師は「おっとっと」とキャッチした。

「早くしてくれチャン老師! うぉ、ディド!そっち行くなってーの!」

素早い動きで先回りし、
レオがまたディドを攻撃で誘導する。
二匹のディドを片手づつに掴み、ブン投げた。
そしてもう一匹掴んで投げようとした時だった。

レオの目の前のディド達が突然一気に吹っ飛んだ。
数十匹のディド達が同時に宙を舞った。

「チャン老師!魔法使うなら使うって言ってくれよ!」
「ほほ、まぁ気にするな」
「俺を気にしてくれってんだ!」

「まぁまぁ、レオさん。チャン老師。大方かたづきましたよ」
「そうね、よくやったわ」

気がつけば残りのディドの数は十数匹ほど。
あまりに早い仕事に
ナッグとアンリは呆然としていた。

が、呆然としていたのは一瞬だった。

「「ルースター社長あぶない!!!!」」

ナッグとアンリが叫ぶ。
残りのディドが一斉に社長ルースターに飛び掛ったのだ。
ルースターの横全方向からとびかかるディド達。
360度の包囲網
逃げ場は無い。

「フン・・・」

ルースターが大剣を持ち上げ、
そして大きく一周させるように振り回した。
と、同時に
十数匹のディドが全部真っ二つに斬られた。
いとも簡単に。

「これで終わりだな」

「さっすが社長」

他の4人は何一つ心配していなかったといった雰囲気であった。


「す、すげぇな俺らの上司は・・・なぁ、アンリ」
「私に聞かなくてもわかるでしょ?・・・・凄いわよ・・・・」

「凄い凄いじゃ困るんじゃよ?」
「あんた達にも仕事してもらわなきゃ困るんだから」
「ナッグさんもアンリさんも僕より年上なんだから僕なんてすぐ追い越しますよ!」
「仕事ダッリぃんだから頼むぜそこんとこよぉ」

「ナッグ。アンリ。そういう事だ。お前達には成長してもらわなくてはならない」

「で、でもなぁ・・・先輩方が凄すぎて・・・・なぁアンリ・・・」
「えぇ・・・・私達なんかじゃ出来るかどうか心配に・・・・・・・」

「出来るかどうかじゃない。してもらう。
 なぜだか分かるか?」

「・・・・」
「仕事・・・・だからですか?」

「違う。理由はお前達も《モスディドバスターズ》の社員だからだ。
 これから先、お前達に助けられる事もあるはずだ。そうなってくれ」

「お、俺達なんかが・・・・なぁ、アンリ」
「えぇ・・・・恐れ多いというか・・・」

「社長の言ってる意味が伝わらないのかの?」
「まったく。ヘタレな子たちね」
「やれやれ、これから先が思いやられるぜ」
「社長はですね。ナッグさんとアンリさんに"期待してる"って言ってるんですよ」

「「え?」」

ナッグとアンリは驚いた。
社長が、自分達に期待を・・・・。

「それより社長!これで仕事は終わりだよな?!」
「そうじゃった!これでゆっくりと温泉にいけるのぉ」
「3日分の仕事だものね」
「レビアの秘境露天風呂!早くいきたいです!」

「あ・・・そうだったなアンリ」
「みんなは有給で・・・・」

「何を言ってる。行くぞ」

「「へ?」」

「最初から有給なんてあるわけないじゃろう」
「ナッグさんとアンリさんに経験をさせるためのウソだったんですよ」
「その分サボろうって考えだったけどね」
「お、おいシズ!そこは黙っとけって!まぁ実際サボれなくなったけどな・・・・ダッリィ・・・」

「お、俺達も・・・・行っていいのか?そうなのかアンリ!?」
「わ、私にきかないでしょ・・・・」

「当たり前でしょ」
「チケは7枚買ってあんだよ」
「ボーナスみたいなもんじゃ、行かなきゃ損じゃわい」
「それに人数が多いほうが楽しいですよ」

「でもなぁ・・・アンリ・・・」
「役に立ってない私達が・・・・」

「グダグダうるさい。疲れてるんだ。・・・・・上司命令だ。行くぞ」

ナッグとアンリはお互い目を合わせあう。
そして同時に顔を前に戻し、
大きな声で言った。

「「はい!!!」」

「まぁ役に立たないのはホントだったわね」
「ですね」
「そういえば老体と疲れた上司達にこの荷物はキツいと思わんか?」
「ハハハ!チャン老師!いいアイデアだぜ」

「まず役に立ってもらうとするか。ナッグ。アンリ。みんなの荷物を持て」

「「・・・・・・はい」」



社長ルースターの後ろに4人の上司がついていき、歩いていく。
ルースター・・・・・シズ・レオ・チャン・オープの後姿。
その背中を見て思う。

ついていこう。
この人に。
いや、この人達に

まずは役に立てるようになろう。
依頼してくる人達のではなく、
尊敬できるこの人達の役に。

《モスディドバスターズ》の一員として。

そしていつか追いついてみせる。

「そういえば、お前上司達をディドヘアーにしてやるとかいってなかったか?アンリ」
「わ、私は言ってないわよ!ほら、行くわよ!」

ナッグとアンリは二人で7人分の荷物を持ちあげる。

そして走って追いかけた。

5人の自慢の上司達を。

きっと追いついてやる。

とりあえずは駆け足だ。








ルアスの害虫駆除会社。
《モスディドバスターズ》
7人が通った跡には快適な生活をお約束します。
お仕事の依頼はルアス23番街へ。
赤いディド看板が目印です。
3日以内には完璧に駆除してみせます。

ご来店お待ちしております。













                 






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