「まぁーったく美しくない・・・・・・」 ティラノの攻撃を避けながらエクスポは言う。 「ボクの芸術(爆弾)をほとんどものともしないなんて・・・・・・・芸術の分からないやつだ」 　 ティラノはそんなの知ったことかと言わんばかりに骨付き肉を振り落としてくる。 一応盗賊のはしくれとしてエクスポはそれを華麗にかわした 「堅い肌の恐竜だな。ショナルの補助のお陰もあるんだろうけど、 　多分ティラノが死ぬときに化石化するのと関係があるんだろう。 　常時半化石化している特異種のティラノってとこかな 　それにしても堅いってのは美しいさと紙一重だな 　宝石・・・・・得にダイアモンドのように堅く、美しいものもあるというのにね 　だがこの醜く堅い生物をどうしたものかな・・・・・」 エクスポは爆弾をバスケットボールのように指先で回した。 「ペパーボムで防御力を下げてみようか・・・・・・・・・ 　いや、それでも利かなかったらアウトだし防御力もずっと下がりっぱなしってわけじゃない 　それにペパーボムは普段使わないからあまり持って来てない。考えて使わないと」 ブツブツと一人事を言うエクスポ 彼は普段から独り言を言うクセがあった。 得に爆弾に限らず芸術を作っている時である。 まるで料理を作る時のように思考に思考を重ねる。 思考を重ねて重ねて、そして最後にうまく言ったとき その快感がたまらなく好きだからだ。 積み重ね積み重ね、そして最後は華やかに。 彼の美学である。 だからエクスポはこんな思考時間はなかなか嫌いではなかった。 「あぁ！とりあえず何も思いつかない！ 　でもきっとボクはこの醜いティラノを美しく倒すに違いない！ 　そしてボクの美しい記憶のひとつになるんだね！」 根拠のないことを言い出すエクスポ。 しかし理由はあった。 慢心は彼の美学に反するのだが それ以上にエクスポは"いつも最後は美が勝つ"と信じてやまなかった。 醜いものは滅び行くものだと・・・・・・ 「記憶・・・・・といえばそうか。過去の経験を生かすべきだね 　とにかく経験は美しい。積み重なっていくものほど美しいものはない」 つべこべ言っている間にティラノステイルが火炎を吐いてきた。 「おっと、まったくそんな醜い火を吐かなくても。点火は間に合ってるんだ」 エクスポは炎が放たれるティラノの口の方向を見定め、 また華麗に避けた。 「・・・・・・・・っと。イヤな事思い出した」 エクスポは人差し指を自分の額に当てて言う。 「記憶は美しいものなのに・・・・・・ 　《ＭＤ》は野蛮なメンバーが多いから野蛮な記憶が多いな 　美しくないものも記憶に積み重なってしまうんだね。あぁ悲しいな。 　でもそのお陰で美しい記憶も栄えるんだ。やっぱり記憶は美しいかな」 わけの分からない事を呟くエクスポ。 そして両手に大量の爆弾を抱えた。 ペパーボムも混じっている。 「このセリフは言いたくないんだけどね」 ティラノが骨付き肉で大きく振り払ってきた。 真横に振り払われる骨付き肉。 それをエクスポはジャンプで避ける。 そして飛び上がった先。 空中のエクスポの目の前には大きな大きなティラノの顔。 そして・・・・・・口 「ごちそうをくれてやる！・・・・・ってね」 エクスポは両手の爆弾をティラノの口に投げ込んだ。 あまりに大きなティラノの口の中(ゴール) すべてのボール(爆弾)はティラノの口に入っていった。 ゴクンと飲み込むティラノ。 何か飲み込んだな？といった表情である。 エクスポは片手に懐中時計。 その針を見定め、そして言う。 「腹を壊さないようにね」 同時にティラノステイルの腹部から幾数もの閃光が漏れる。 そして爆発。 ティラノを中心に大きな爆発の花火があがった。 そしてティラノは化石化しながら砕け散った。 「芸術が醜い花火になってしまった・・・・・・・・・」 ティラノの残骸を見てエクスポは思う。 「メッツが酔っ払ってティラノと戦ったのを思い出してしまったよ・・・・ 　メッツがティラノに飲み込まれて腹を突き破って出てきた思い出・・・。 　まったくメッツは美しくないんだからね。でもその思い出のお陰で今回は助かったけどさ。 　やっぱり経験や思い出は美しいものさ！それがどんなものでも掛け替えないね！」 エクスポは天へ両手を広げる。 そして両手を胸にあて高らかにしゃべる。 「あぁ！そしてやはりボクが勝った！醜いものは負ける運命なんだね！ 　大体魔物みたいな醜いものこそ群がってるんだよね 　醜いものが醜いものを産む、あぁなんて悲しいんだろう 　世界の全てが美しさを求めればきっと・・・・・・・・・ エクスポは独り言をただただ言う。 終わらないエクスポの感動の独り舞台 懐中時計だけがその時間を刻々と刻んだ。

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