ティラノステイルが片手にもつ骨付き肉を振り落としてきた。
その攻撃は目標をそれて地面に叩きつけられたが、
地面のタイルは砕かれ、大きくへこみ、その下の地面が見えた。
もしこのティラノの攻撃が当たったら・・・・

「ちょ、何よこのティラノの攻撃力!?」
「おかしいね。普通のティラノの力量を超えてる」
「普通のティラノじゃないって事ね」
「・・・・・・それもあるけど・・・・・・・・・明らかに補助がかかってる・・・・・・・」

ティラノを気にしながらも
3人は迫り来る他のモンスター達を相手にしなければならなかった。
周りのモンスター達を相手に
エクスポの爆弾が爆発し、
マリナのマシンガンが撃ち放たれる。
だが、

「美しくない。綺麗に一撃で倒せなくなってる」
「周りの他のモンスター達も全部強くなってるわ!」
「・・・・・・やっぱり補助だ・・・・・・・」
「補助ってここにどれだけのモンスターがいると思ってるのよ!
 それにこの庭園の広さを分かってるの!?」
「たしかにこの範囲・・・・・・普通の聖職者一人でカヴァーできる範囲じゃないね」
「・・・・・・・・・」
「もしかして『ラヴイズバトルフィールド』・・・・・・ショナルってやつがいるの?!」
「範囲補助のエキスパートってやつか」

「俺の事を知ってるのか。嬉しいな」

どこからか声が聞こえる
だが場所が分からない。

「あんたがショナルか」
「・・・・・・どこだ・・・・・・・」

「さぁてね。言うわけないじゃないか」

どうやら最初から近くにいたのだが、
隠れて様子を見ていたようだ。
話題が出たから声をかけたのだろう。

「ハッハー!ザッツラィ!ユーの言う通りだぜショナル!」

「・・・・・・・・・・青いのもいる・・・・・・」
「どこにいるのよあんた達!」
「あいつら言わないって言ってるじゃないかマリナ。
 人の話を聞かないのは美しくないよ。まずコミュニケーションというものがね・・・・・」
「エクスポは黙っててよ!」
「・・・・・・・・むしろ死んでてよ・・・・・・・・・」
「・・・・・・」

「俺とジェイのコンボは完璧だ」
「ミーのモンスターがショナルのスペルでパワーアップ!イッツエクセレン!」
「ふ、俺達を見つけられればいいけどな」
「ノンノン、そりゃインポッシボーだショナル。ハハ!」

本当に近くにいるのは分かるが声の場所が分からない。

「芸術とは・・・・・・・・・いつも見えるものだよ
 見えないものは美しくないってことさ!隠れてないで出てきな!」

エクスポが右手を大きく振り落とす。
同時に回り一体に何かが起こった。
透明解除スペルであるディテクションだ。
エクスポはジェイとショナルが
インビジ・カモフラなどで不可視状態になっていると読んだ。
が・・・・・何も起こらない。

「馬鹿な・・・・美しくない」
「インビジで隠れてるわけじゃないの?!」
「・・・・・・・・・・・・・・でも二人とも近くにいるはず・・・・・・・・・・・・・・」

「悪いね。音沙汰なしというやつだな」
「ハッハー!VIP席でジ・エンドを待たせてもらうぜOK?」

マリナ・エクスポ・レイズの三人は辺りを見渡す。
しかしまるでジェイとショナルの影は見当たらない。

「・・・・・・どうする・・・・・・」
「負けは美しくない。何か手はないか?」
「猫の手でも借りたいわね・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・借りよう・・・・・・・・・」
「借りるって誰に」
「もしかしてアレックス君?たしかに彼なら頭の回るけど・・・・・」
「突破している彼らに聞くなんてカッコ悪いね・・・・・・美しくない」
「・・・・・・・・・・どうでもいい・・・・・・・・・・俺は早く終わらして寝たい・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・ダルいし・・・・・・・・・・・それにあいつらむかつく・・・・・・殺してやりたい・・・・・・・・」

マリナがため息をつきながら携帯オーブを取り出した。
そしてWIS通信を繋ぐ

〔はい、どうしましたマリナさん〕

アレックスが通信に出た。

〔アレックス君?アドバイスをもらいたいわ〕
〔こっちも通話運転はさけたいところですが・・・・・・どんな具合なんです?〕
〔敵の位置が分からないの。インビジで隠れてると思いきやそうでもないみたい〕
〔そうですか〕

少し会話が止まる。
そして数秒後アレックスが言葉を返した。

〔僕が言える事はこれだけです。敵が"見えない"訳ではなかったのならば
 つまり答えは決まっています。"見えてない"だけか"見えている"か。それ以外にないです〕

そうしてプチンと通信は切れた。
アレックスの方も移動と戦闘を同時に行っているのだ。
楽な状況ではない。

「・・・・・・・・・・・・・意味不明・・・・・・」
「当たり前の事じゃないの・・・・・・・・」
「でも当たり前の事が美しい事だったりするものだよ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「結局しらみつぶしに戦うしかないわけね・・・・・・・・」

ティラノステイルが火炎を吐いてきた。
その火炎の息吹はマリナ・エクスポ・レイズを襲う。

「・・・・・・・・・・・ファイアダウン・・・・・・」

レイズがツリスタッフを振る。
すると水の防壁がティラノの火炎を防いだ。

「なかなか美しい使い方だレイズ。工夫は美に繋がるよ」
「・・・・・・・・興味ない・・・・・・・」
「まぁ今度はこっちの番よ!」

マリナのギターの照準がティラノに向けられる。
そしてMB14mmマシンガンが放たれた。
しかし弾丸はティラノに少量のダメージを与えた程度であった。

「やっかいなティラノね・・・・」
「化石のように堅い肌だな」
「・・・・・・・・・・・・」
「ここは分担しようじゃないか。ボクがこのティラノをやる
 マリナとレイズはジェイとショナルを探して倒してくれ」
「・・・・・・分かった・・・・」

エクスポがジョーカーポークを地面に投げつけた。
噴出す煙
煙幕に隠れたのを見計らい、
マリナとレイズはティラノから離れれる。

「再開は美しいものだ。あとでね」

エクスポは両手に爆弾を抱えてその場に残った。




マリナがマシンガンを振り回し、
敵を黙らせながら走る。
レイズもそれを補助しながらついていった。

「・・・・・・・どうやって探すんだよ・・・・・・・」
「今考えてるところなの!!!」

考えるより先にギターという機関銃によってモンスター達が倒れていく。

「・・・・・・・・・・アレックスの言ってた事・・・・・・・」
「"見えてない"か"見えている"っていうやつ?あんなの当てにならないわ!」
「・・・・・・・・・他に当てにするものがない・・・・・・」
「・・・・・・まぁそうだけど」

マリナはギターから弾丸をぶっ放しながら答える
ギターを持ち替え、目の前のザストをバットで殴るように打ち飛ばした。

「インビジで"見えない"わけじゃなかったわけだけど
 "見えない"と"見えてない"ってどう違うのよ」
「・・・・・・もしかして・・・・・・・・・・・"見えてない"ってのは・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・見える範囲にいないって事じゃないかな・・・・・・・」

レイズのその言葉と同時に
マリナとレイズは走るのをやめた。
そしてまさかとふと上を見上げた。

「・・・・・・・ビンゴ・・・・・・」
「盲点だわ」

空には一匹のストーンバットが飛んでいた。
そしてその背中。
そこに一人の男が乗っている。
よく見えないが聖職者の身なりだ。

「あれがショナルね!!!!!」

「見つかったか」

「・・・・・・・降りてこいよ・・・・・・・むしろ落ちて死ね・・・・・・・・・」
「そんな所で戦うでもなく見下ろしてて楽しいわけ?!」

「楽しいね。自分は安全な所にいるのに敵は危険にさらされている。
 こんな愉快な事はないさ。多分ジェイも同じ気持ちだろうよ」

「『ラヴイズバトルフィールド』の二つ名が泣くわね!」
「・・・・・・・・・全然戦場好きじゃないじゃないか・・・・・・・・・・」

「違うね。俺は戦場が好きで好きでたまらない。愛は戦場。戦場は愛だ。
 いや正しく言うと俺は戦場を作るのが好きなのさ
 ここにいる全てのモンスター達に力を与え、今ここは波乱の戦場となっている。
 俺の力でだ。俺の愛でここは血肉の海へと化している。
 俺は戦場に参加してないようで戦場はたしかに俺の手の上なんだよ」

「・・・・・・・・・バカなお偉いさんと同じ事を言う・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・あいつ出世するタイプだな・・・・・・・・・」

レイズがクックックと笑う

「何笑ってるのよレイズ!あいつをぶちのめすわよ!」
「・・・・・・・・無理・・・・・・・」
「は?」
「・・・・・・・・・・・俺じゃぁ・・・・・・・あそこまで攻撃できない・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・つまり・・・・・・・・・・あれを倒すのはマリナの仕事だ・・・・・・・・」

ストーンバットに乗ってはるか上空を飛び回るショナル。
たしかにレイズのいう事は正論だった。

「・・・・・・とりあえず・・・・・・・・あいつはやっかいだけど・・・・・・・攻撃はしてこない・・・・・
 ・・・・・・・・先にジェイを探そう・・・・・・・・・そしたらまた分担だ・・・・・・・・・・・」
「そうね」
「・・・・・・・・・・・アレックスの言ってた・・・・・・・もうひとつ・・・・・・・・・・・」
「"見えている"ってのね。意味わからないわ。見えてたらすぐ見つけてるわよ
 あんな目立つ青色の格好をしてるんだから」
「・・・・・・・・・そこが狙いかも・・・・・・・・・・」
「え?」
「・・・・・・・・・・ずっと青い奴を探してたから・・・・・・・・・・・・・・」
「なるほど。目立つ格好をしておいて今は目立たない姿をしているわけね
 でも人なんて見渡しても・・・・・・・・」

マリナとレイズが周りを見渡す。
しかしやはり怪しい人物などいない

「・・・・・・・・・"見えている"・・・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・」

レイズがふと気付く。

「・・・・・・・・・・・あそこだ・・・・・・・・・マリナ・・・・・・あそこを撃て・・・・」
「え?普通のモンスターがいるだけじゃない」
「・・・・・・・いいから・・・・・・・・」

マリナがマシンガンの照準を変え、
レイズの指示した所を撃ちまくった。
モンスター達が"体中から血を吐いて"倒れていく。
それは今までのモンスターと同じ・・・・・・。
・・・・いや。ひとつだけ違う影があった。

「ガッデム!」

一つのモンスター・・・・・・ノカンジェネラルが煙をあげた。
そしてその小さな煙の中から現れたのは青い服の盗賊。
ジェイだった。

「Fxxk!!!!見つけやがるとはユー達をベリーなめすぎてたぜ!」

「・・・・・・・・考えたな・・・・・・・・」
「あら、なーるほどね。葉っぱを隠すなら森に・・・・
 まさかモンスターの群れの中に変身スクロールで混じってたとはね」

「バット!ホワイ!?なぜどのモンスターがミーって分かったんだ?!」

「・・・・・・・・・・・・・・補助をかけられて・・・・・・・・粋がってるモンスターの中・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・まったく攻撃してこようとしない・・・・・・奴・・・・・・」
「しかも化けるならノカンジェネラルが怪しいって事ね
 普段からノカンを指揮してるからモンスターを操る動作にも違和感がない」
「・・・・・・・・・・・そのせいで逆にバレたわけだけど・・・・・・・・・・・・」

レイズは「馬鹿だ」と言いながらクックックと笑った。

「・・・・・・・・・じゃぁマリナ・・・・・・・俺はこの馬鹿をやる・・・・・・・・・・・」
「じゃぁ私はショナルね!」

マリナとレイズはギターとツリスタッフをカコンと当てた後、
二手に分かれた。









                 






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