「ケビン!ケビン将軍!起きて下さいケビン将軍!」
「ん・・・・」

ケビンは藁でできたベッドから体を起こす
外には日が照っていた。
もう朝かと耳をうなだらせ
髪の毛を掻き毟った

「外ではもう皆準備が整いつつあります。
 ケビン将軍も準備が出来次第早くテントから出てきてくださいね」
「あぁ・・・・」
「それでは失礼しますケビン隊長」

その男はそそくさとケビンのテントから出て行こうとした
ケビンはその男を声を引き止めた

「おいケント」
「あ、はい。なんでしょうか」
「兄に向かって"将軍"はいらないっつってるだろ?」
「いえ、今日は特に将軍と呼ばせて頂きます。戦場では血愛は無用。そうでしょ?」
「ったく。堅ぇんだからなお前は」

ケントはそう言ってケビンのテントから出て行った。
ケビンは枕元に置いておいた鏡を手に取る
そして髪型を整えたあと
自分の顔を眺めた
今日も整った大きな鼻と長い耳が映っている
これを見ればどんな女もイチコロだろう
ケビンは鏡に向かって一度ニッと笑った
そして身を整え
立てかけてあった剣を手に取る。
その剣は赤茶の刀身を持つ剣ブルトガング
ケビンの誇りだった。

ケビンは最後にマントを肩に掛け
テントの入り口をくぐった

出たところは一つの丘

眩しい日差しが照りつく
その光を手でさえぎる
そして見えた丘の下の光景

それは一面に敷き詰め整列するノカンの軍勢だった

数千の同士が並ぶ絶景
その光景にケビンはもう一度ニヤリと笑う

もう一度思う
絶景だ

これほどの仲間が俺の元に・・・・
ケビンはそう思う

そして剣を天に掲げ、
叫んだ

「ノカン同士諸君!残念だ!今日この日がとても残念だ!
 なぜならこんな最高の日がもう一度来る事などないのだから!!
 長きに渡るノカンとカプリコの因縁!それを断ち切る日が今日だ!」

オォーーーー!と歓声が響く
数千のノカンの雄たけびがこだました

「将軍というのに戦の日に寝坊した俺を許して欲しい
 ちと今日見た夢が最高過ぎてな。
 俺は昨晩ふたつの夢を見た!
 ひとつは100の女に囲まれる夢だ。どのノカンも絶世の美女だった
 そしてもうひとつの夢は・・・・・・・あのカプリコのチビ共がひざまずく姿だ!
 俺がそんな夢を見てる時に怖くて寝ションベン垂れた奴はいねぇだろな!」

オォーーーー!ともう一度歓声が響く
士気は十分だ。
ケビンはもう一度ニヤリと笑った

「作戦は予定通り行う。今から60分後だ!それではノカン皆に栄光あれ!」

ケビンはソードを鞘に収める
そして丘の下に背を向けた

本当にこの日が来たと実感した

そこに赤い服のノカン
実の弟ケントが駆け寄ってきた

「ケビン将軍!最高の演説でした!」
「俺の話なんてどうでもいいさ。それよりケント。例の作戦は順調なのか?」
「はい!テントが足りなかった事以外何一つ問題は無かったそうです」
「余るよりはいいさ。順調ならいい」
「はい!」
「じゃぁ俺は一足先に戦場へ行くとするよ」
「ぼ、僕も行きますケビン将軍!」

そう言うケントの頭にケビンはポンッと手を載せた

「お前はまず作戦開始までの準備があるだろ?それが終わってからだ」
「ですが僕も兄上の側に・・・・」
「戦場では血愛は無用・・・だろ?お前は俺の弟である前に俺の部下だ
 仕事の出来ない部下なんざいらないぞ」
「は・・・はい将軍!すぐに!」

ケントはアセアセと準備を整えにいった
いろいろな人に指示をしながら走っている
その弟の姿を見るとケビンはニッと笑った
そして空を眺めた
雲ひとつない晴天

「いい天気だ。本当に。こんな日は洗濯でもしたいとこだったんだけどな」

晴れた一日
ノカンとカプリコとが血肉を飛ばしあうの日の始まりだった









                 






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